アニメ映画「化け猫あんずちゃん」が7月19日から劇場公開されています。2006年から翌2007年まで「コミックボンボン」誌上で連載していた、いましろたかしさんのマンガが原作。この作品が大好きなボクは、まさかの映画化に大喜びしました。
化け猫あんずちゃんは、長生きしすぎた結果、化け猫になってしまったあんずちゃんと周囲の個性的な人々との日常を描いた、ちょっとシュールなコメディ作品。しかし、鑑賞前に映画の公式サイトを見て、原作とはかなり印象が違うことに気付きました。
映画は、あんずちゃんの飼い主である和尚さんの孫娘・かりんちゃんの「死んだ母親に会いたい」という願いのため、あんずちゃんが奔走するというストーリー。PVの映像はとてもきれいで、個性派の俳優さん達をそろえたキャスティングも目を引きます。これでは、まるでオシャレで芸術的な、そして感動的な映画のようです。
でもボクは、庭先でオシッコしたり、所かまわずオナラをする、ちょっと下品な中年オヤジみたいなあんずちゃんを見たいのです。つまり原作ファンを蚊帳の外に置くような改変が行われたのではないか、という不安を感じたわけです。
でも、そんな心配は全く必要ありませんでした。
スクリーンの中には、ボクの知ってるあんずちゃんと池照町の人々がいました。原作のエピソードをうまく散りばめながら、原作通りのちょっと下品でシュールなやりとりをちゃんと見せてくれて、原作ファンとして素直にうれしかったです。
さらに実際のお芝居を元にアニメーションを起こす「ロトスコープ」という手法や、お芝居の時の音声をそのまま使用することで、森山未來さんをはじめとする俳優さんたちの自然な演技があんずちゃんたちの日常をよりリアルに見せてくれました。ちょっとした日常的なシーンも、すごく楽しく感じられます。
ただ、かりんちゃんをはじめとする映画オリジナルのキャラクターについては、リアルで丁寧な人物描写がされていたものの、原作のキャラクターのような愛嬌が感じられず、個人的にあまり好きになれませんでした。そのせいか、メインストーリーにもあまり興味が持てなかった点は残念です。
それでも作品全体の雰囲気や、原作の持つ独特の面白さを表現できていた映画には一見の価値あり。原作漫画が大好きなボクにとって、化け猫あんずちゃんという作品を多くの人に知ってもらえたなら、こんなにうれしいことはありません。
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