その後余震は執筆時点で18回あったが、一度震度3クラスがあったものの、その他は震度1程度である。地元では報じられているが、この規模では全国ニュースにはなっていないだろう。
翌日には神奈川県南部を震源とするM5.3の地震があり、メディア報道は一斉にそちらに切り替わった。首都圏に人口が多いことはもちろんだが、そもそも大手メディアが全て東京に集中しているだけに、首都圏の意識は一発でこれに切り替わった。この地震は南海トラフとは関係なしという見解はすぐに出されたが、これによって南海トラフへの注意警戒は分散された格好になってしまった感は否めない。
加えて12日には台風5号が東北地方を横断、15、16日は関東地方に台風7号接近と、相次ぐ台風報道で南海トラフどころではなくなり、そうこうしているうちに地震臨時情報解除を迎えた。さまざまな災害関連の情報が重なり、さらにお盆帰省による交通の混乱なども伴うため、報道機関は大忙しだっただろう。
一方で地震予知のデマ情報も拡散した。筆者は10日ごろに気がついたが、多かったのは8月14日説である。もちろん、根拠はない。そもそも今の科学的知見では地震予知は困難であるからこそ、気象庁は臨時情報を公開という格好に切り替えたのである。
昨今は情報リテラシーも上がっており、こうしたデマを真に受ける人は以前よりは少なくなっているだろう。大人よりもむしろ子供のほうが、学校できちんと教育されており、こうしたデマを簡単に信用しなくなっている。むしろこうしたデマを悪乗りして拡散する者を、冷ややかな態度で捉えているようなところもある。
地震予言アカウントの作り方さえも、子ども達の間では研究されている。あらかじめ非公開アカウントで、「○月○日に地震が起こります」という発言を、数字を変えてたくさん上げておく。そして本当に地震が起こったら、その日以外の発言を消して、アカウントを公開にする。そして何食わぬ顔で別アカウントから、「この人こんな前から予言してる!」と書き込めば、予言者アカウントの出来上がりというわけである。
単なるイタズラで終わらず、フォロワーが数万人に達したところでアカウントを転売するといったことも考えられる。次の予言を期待してだまされた人達には、ある日を境に怪しげな広告がばんばか届くようになり、こんなのフォローしたっけ? となるわけだ。
ケガの功名としては、このデマが14日にセットされたことで、数多くの自然災害に紛れながらも、なんとなく緊張感を維持できたということはある。人は日時が設定されると、例えそれがデマでまったく信用していなくても、それなりに気にはするんだなということを再認識した。当然の事ながら、デマ情報を推奨するわけではない。いたずらに社会不安を煽れば、人々の正しい判断を失わせるという大きなリスクが生じる。デマの拡散に加担することは、デマを流した本人と同じ責任を追うことになる。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR