前出のように、最大の変化である「カメラコントロール」は全機種に共通だ。
カメラコントロールは、機能としては「シャッターボタン」に近い。カメラアプリの呼び出しやシャッターは、以前よりボタンでできていたこと。それだけなら新機能搭載の意味はない。当然ながら、単なる押しボタンではない。
だから構造も複雑だ。表面はタッチセンサーになっている。さらに振動による錯覚と組み合わせることで、「深く押し込む」「半押し」感覚の両方が表現されている。
それゆえに、最初は操作に戸惑う部分がある。シャッターを切る分には問題ないのだが、メニューを切り替える「軽く2回タップする」操作にも、左右に滑らせる操作にも慣れは必要だ。
特に、ズームなどに使う「スライド」操作は次のように考えると分かりやすい。
ズームや露出変更などを行う場合には、指を左右に滑らせるのだが、「じわじわと動かす」操作と「サッと滑らせる」操作では意味するところが異なっている。
例えばズームの場合だと、サッと滑らせると「0.5倍」「2倍」などの光学ズームが効くキリのいいところへ動く。中間で止めたい時にはじわじわ動かす。これを意識するとスムーズに使えるようになってくる。
カメラコントロールの狙いは、操作系を「シャッターの周りに寄せる」ことだろう。被写体に集中するには望ましい形だ。
ただそれなら、一眼カメラなどでいう「半押しによるフォーカス・AEの固定」機能は欲しかった。「半押しでのフォーカス固定」は年内にはアップデートで搭載される予定で、現状はまだ使えない。組み込まれれば操作への違和感ももっと小さくなるだろう。
一方、アクションボタンの位置付けがちょっとあやふやになったようにも感じる。カメラ以外の機能を呼び出すのに使えるわけだが、それだけだと物理ボタンとしての価値が弱い。
カメラの機能という意味では、16 Proシリーズはやはり差別化が行われている。
23年同様、望遠は光学5倍。それが16 Pro Maxだけでなく16 Proにも搭載された。15 Proは光学3倍で差があったが、今年は同じなので、サイズだけで選んで問題ない。
iPhone 15や16とのもっとも大きな違いは、「4K・120fpsでの動画撮影」が可能であることだ。
iPhone 16 Proシリーズは120Hz駆動のディスプレイを採用しているので、動きが滑らかに見える。
ただそれ以上に、一部をスロー再生した時の「ドラマチック感」が高まる。ドルビービジョンによるHDRも有効で、かなりクオリティーが高い。以下のサンプルを見ていただくと分かりやすいだろう。
ただ、撮影データのサイズは相応に大きい。実測値で、1分あたり340MB。HEVCでの撮影でこれなので、ProResではさらに大きくなる。本格的に撮影するなら、iPhoneに外部ストレージを接続し、そちらに保存することをおすすめする。
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