ソニー・インタラクティブエンタテインメントは「CONCORD(コンコード)」のサービスを9月6日に終了しました。8月23日に発売されたので、約2週間という異例のスピードでのサービス中止となります。
その最大の要因は4480円という販売価格。ライバルである「オーバーウォッチ2」や「VALORANT」が基本無料でプレイできるのに対し、新規ゲームなのに有料買い取り型の販売戦略で挑んだことが失敗だったようです。
また、DEIに配慮したといわれるキャラクターデザインに魅力がなかったことも発売前から不評で、ゲームの寿命を縮めた要因の一つといえそうです。DEIは「Diversity(多様性)」「Equity(公正性)」「Inclusion(包括性)」を意味する言葉で、日本では単に「多様性」と言われることが多いようです。人種や性別などで区別されることなくみんな公平にという考え方で、一見、理想的にも思えるのですが、ここ数年、様々な場所で物議を醸しています。
コンコードに美男美女は出てきません。代わりに男女の差異をなくすように意識したかのようなキャラや、標準的ではない体格のキャラが多く登場します。文化や環境の違いによる無意識な差別や偏見をなくすように考えられたであろうデザインは、結果的に魅力的なものにはなっておらず、多くのゲーマーの購買意欲を刺激することはできませんでした。
個人的に見てもコンコードのキャラデザインには魅力を感じません。ボクに限らず、多くのクリエイターは、キャラクターを生み出すときに「どうやったら魅力的になるか」を考えると思うのですが、DEIに配慮する過程で、それが妨げられているのかもしれません(詳しくはマンガで)。
だとすれば、とても残念です。「アサシンクリード シャドウズ」騒動の際、イーロン・マスク氏がXに「DEI kills art(多様性は芸術を殺す)」と投稿して注目を集めましたが、今回はデザインどころか、結果的にビジネスの妨げになった可能性さえあるわけです。
最近では日本のゲームメーカーもDEIに配慮すると表明するケースが増えました。ボクもDEIの考え方自体はとても重要なことだと思いますが、その手法がゲームの魅力を損ねる要因になっているとしたら……。
ゲームはまず魅力的で面白いのが第一です。日本のゲームメーカーさんには是非慎重に見極めていただき、今後もわれわれゲーマーを楽しませてほしいというのが、ボクの率直な意見です。
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