バッグも服も、革やファブリックを裁断して縫製して作るという点では同じだが、技術的にも、使う道具も全く別物で、技術的な共通点はほぼ無いのだそうだ。「ただ、UNTRACKのウェアの場合、バッグのシリーズの1つのつもりで作っています」(生本さん)。
例えば、バッグ・メーカーが作る服として、自社のバッグに似合う服というラインもあったと思うし、実際、UNTRACKのバッグとのトータルでのスタイリングは意識されているのだけど、そこにとどまらず「着るバッグ」というコンセプトを掲げるというのは、かなりの冒険だろう。そのコンセプトは、ユーザー側にしてみれば、かなり期待してしまうし、その分、釣り用やカメラマン用の多機能ベストみたいなものとの差別化も期待する。
今回、実際にお借りして試したのは、「Essential Balcollar Coat」(5万5000円)。生本さんも、実際に作っていて楽しいのは、色々な要素を入れられるアウターだと言っていたし、一番、「バッグとしての服」というコンセプトが分かりやすいのではないかと思ったので、まず、コートから試したいと思ったのだ。
分かりやすい特徴としては、内ポケットが4つ用意されていること。これだけなら、ただのポケットの多いコートなのだけど、そのポケットは全て開口部が縦になっていて、それぞれにファスナーが付いているのだ。
UNTRACK「Essential Balcollar Coat」の着た時の左内側。右利きの場合、右手で左側に手を突っ込んでスマホを出し入れするという想定。下の鍵&イヤフォン用ポケットにはキーチェーンが内蔵されているまず、この縦に開いた内ポケットというのが使いやすい。これが一般的なコートのように上に開口部があると、モノを出し入れする時に、肘が上がってしまう。スマホなどの頻繁に出し入れするものを入れている場合、腕の動きが少なくて済むポケットが、とても快適。これだと電車で座っている時などに、隣の人に迷惑をかけずにスマホの出し入れができるのだ。さらに、ファスナーが付いているので財布なども入れておきやすい。
また、それぞれの内ポケットに様々なものを入れていても、あまり着崩れしたり、ポケットの膨らみが気になることもない。
「ジャストサイズにすると、外側に入れたものの形が出たりして、着た時の見え感やバランスもよくないので、サイズ感にはこだわりました。リラックス・サイズといいますか、オーバーサイズになり過ぎないけれどゆったり着られるという辺りのサイズになるように気を遣っています。オーバーサイズが流行ってきていたので、タイミング的にも良かったですね」と生本さん。
ファスナーは、務歯(ファスナーのかみ合う部分)が出ないコンシール・ファスナーを採用。引き手は小さいけれど、しっかり握れて滑りにくい。また、ポケットの中はかなり大きいので、スマホと一緒に小型のバッテリーを入れておくこともできるまた、各内ポケットには、そこに入れるものを示すアイコンが印刷されている。左上はスマホ、左下が鍵とイヤフォン(キーチェーン付き)、右上に財布、右下がパスポートのアイコンという具合だ。「アイコンに関しては、ポケットが多いと、何をどこに入れたか分からなくなることがあるので、それを避けたいと思いました。定位置管理的な発想を服の中に入れ込んだ感じです」と生本さん。
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