もちろん、アイコンは無視して、好きなものを好きな場所に入れればいいのだけど、この表示があることで、ある程度、頭の中が整理できる部分は確かにあると思った。このあたりもバッグ的な発想といえるかもしれない。
また、ポケットが縦開きで、縦にファスナーが付いているという構造も、同社の「ガジェタブル」などで多用されている、縦ファスナーのポケットから引き継がれているようにも思える。実際に生本さんに尋ねてみたら、意識はしていなかったということだったが、「どこか当たり前のこととして自然にやっていたかもしれない」という答えが返ってきた。
ファスナー自体が小さくて、目だたないように付けられているのも、バッグのフロントポケットなどでよく見られる手法。そういう作り方が、当たり前のように身に付いているスタッフが作ると、服もそんな風にバッグ的なディテールになるのかもしれない。
「ファスナーに関して、コンシール・ファスナーを使っているのは、目だなくするという以前に、表に響かない、務歯が出ないようにするためです。中に務歯が出ていると、中の服に引っ掛かったりする可能性があるので、それを避けたいというのが大きかったんです」と生本さん。そして、ファスナーを閉めてしまうと、ポケット自体も全く目だたなくなってしまうため、ポケットの位置を示すためにもアイコンを付けたという。
ファスナーの引き手も畳むとロックされるタイプなので、チャリチャリ音がしないのもありがたい仕様。こういったファスナーの扱いにも、バッグっぽさが表れていて面白い。
ビジネスバッグは、基本的に表側はポケッと一つくらいのシンプルなルックスで、内装に機能を盛り込むのが一般的だし、そのシンプルなデザインの中に機能を豊富に詰め込んだのが、エースの「ガジェタブル」シリーズだったりする。その意味でも、この目立たないところに様々な機能を盛り込んだコートも、とてもエースらしいといえる。
機能として面白いのは、両脇の下に付けられたファスナーだ。これは内側ではなく、表から開閉するのだけど、私は当初、このファスナーが何のためにあるのかが分からなかった。ポケットになっているわけでもなく、開けるとそこに内側があるだけなのだ。ベルトを内側から通す穴なのかとか思ったが、それも変だ。
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