キャッチアップが遅くて恐縮だが、2024年5月に英国の放送通信庁(Ofcom)が、同国における放送通信コンテンツの将来像を検討した報告書「Future of TV Distribution」を公開していた。視聴者動向や市場のダイナミクスを踏まえながら、今後公共メディアである放送サービスをどのように持続していくかについて検討している。
その結果、3つのオプションが提案されている。
とくに3は、ゆくゆくはテレビ放送をやめて、全てインターネット上に移行してしまうという話で、なかなか骨太の話である。ただ英国営放送BBCでは、3を支持しているという。この背景はなかなか複雑だ。
今回はこのレポートをベースに、なぜこのような検討を行うに至ったのか、また日本でも同様の話になっていくのか、そのあたりを考えてみたい。
テクノロジーの発達により、英国の視聴者も多様なメディアプラットフォームにアクセスするようになった。YouTubeやその他のオンライン動画の視聴時間は、18年には1人当たり1日35分間だったのに対し、22年には54分に増加した。
以下の図は、全てのデバイスで人口全体の動画コンテンツの平均消費量を示したものだ。テレビ放送のライブ視聴は、23年においても全動画視聴時間の39%を占める。一方VSP(video-sharing platform:動画共有サイト)と定額制ビデオ・オン・デマンド(SVoD)/広告支援型ビデオ・オン・デマンド(AVoD)といったインターネット勢を合計すれば31%となり、テレビ放送のライブ視聴に匹敵する枠をとっているのが分かる。
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