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動画生成AIは“仕事”で使えるのか アドビ「Firefly」を検証、得意なこと・苦手なことを深堀りする小寺信良の「プロフェッショナル×DX」(1/4 ページ)

» 2025年03月13日 10時00分 公開
[小寺信良ITmedia]

 2月13日、東京ビッグサイトにてAdobe MAX Japan 2025が開催された。例年このイベントは、米国で10月に開催されるAdobe MAXを受ける形で11月に開催されてきたが、これはいわば日本主導の独自イベントであった。だが今年からは、世界中の主要都市で行われる「Adobe MAX ○○ 2025」というツアーの一環として開催されることになった。その第1弾として、2025年は2月に日本で行われることになったようだ。

キーノートスピーチ会場となった東京ビッグサイト西8ホール

 このツアーは今後毎年開催されるが、開催順は外都度決まるということで、26年も2月になるかどうかは不明だという。とはいえ、今回は1月に多くのβ版が公開になったこともあり、2月の開催はまあまあ話題が豊富であった。

会長兼CEOのShantanu Narayen(シャンタヌ ナラヤン)氏

 キーノートは、どうしてもAIの話が中心になる。Adobeの生成AIのポイントは、著作権的にクリアされている学習ソースから作られていること、AIがクリエイターを置き換えるのではなく、日々繰り返される同じ作業を効率化するといった、生産性向上ツールに徹するということが強調された。

 生成AIはAdobeのみならず多くのツールが存在するが、生成AIによって作られた静止画や動画を全面的に採用したクリエイティブは、まだそれほど多くない。Adobe MAXへ参加している人達はほとんどがクリエイターであり、自分で作品を作る事ができる。「絵が描けない人が誰でも絵が描ける」みたいな捉え方をしておらず、みんな自分のワークのどこにAIが使えるのか、そうしたところに関心があったようだ。

静止画を参照して動画を生成する

 今回紹介されたツールや機能は多いが、個人的に今回の目玉だと思われるのは、「Adobe Firefly」で静止画を参照して動画生成が可能になったこと、それと簡単な3Dオブジェクトの配置から静止画が生成できる「Project NEO」の2点である。今回はまずFireflyの動画生成機能について、深掘りしてみたい。

 Adobeの生成AI機能は、まずFireflyに実装されてβ版として公開されたのち、ある程度形になったものが各アプリに専用ツールとして組み込まれていく、という流れになっている。Fireflyはある意味エンジンそのものだが、各アプリにはそれぞれ作業用のUIがあり、それに馴染むように、あるいはいつもの作業の流れの中にAIの手順が割り込めるように、融合されるわけだ。

動画専用のタブができた「Adobe Firefly」

 まずはFireflyの動画機能のうち、テキストから動画生成を試してみる。これは多くの生成AIで採用している生成指示方法である。

Firefly動画生成時のUI

 Fireflyでは、全ての要素、例えばショットサイズやカメラのモーションのようなことまでプロンプトに入力する必要はない。

 例えばショットサイズはクローズアップ、ミディアムショットなどから選択する。カメラアングル(ポジション)も、俯瞰なのかアイレベルなのかをプルダウンメニューから選ぶ。カメラの動きも、ズームインやチルトアップなどのバリエーションが選べる。従ってプロンプトには、純粋に生成したい内容を記せばいい事になる。

カメラに関してはプルダウンから選択するのみ

 試しに「毛糸でできた猫が秋の落ち葉の中を、うれしそうにこっちに歩いてくる」というプロンプトで生成した画像がこちらになる。

テキストプロンプトから生成した動画

 現在のFireflyでは、生成される動画は1920×1080か、1080×1920の縦動画、フレームレートは24fps、生成秒数は5秒に固定されている。まずはこれでお試しという事だろう。生成にかかる時間は、だいたい30秒ぐらいだろうか。

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