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日本でも公開された「Apple Intelligence」 キモは“要約”にあり オンデバイスAIだからできること(1/2 ページ)

» 2025年04月01日 12時30分 公開
[西田宗千佳ITmedia]

 4月1日、日本でもApple Intelligenceが広く使えるようになった。重要なのは、「そこでなにが便利なのか」という点だ。

 Apple Intelligenceの機能を紹介する記事は多いが、実は「それなりに長く使ってみないと価値が見えてこない」ものもある。そしてそれは、現時点でのApple Intelligenceにおける、最大の価値でもあったりする。

 この機能からは、「個人にとってのAIの価値とはなにか」を考えるきっかけも生まれるだろう。

 なお、本記事は報道用に許諾を得て、Apple Intelligence日本語版を搭載したiOS 18.4/iPadOS 18.4/macOS Sequoia 15.4の開発途上版を利用している(執筆は公開前)。

AIでの「通知要約」が圧倒的に便利

 Apple Intelligenceに搭載される機能は多数ある。AppleのWebでも宣伝されているのは、文章を生成・要約する「作文ツール」や、画像を生成する「Image Playground」などが目立つ機能で、筆者も記事などで紹介してきた。

Apple Intelligenceの「作文ツール」
Apple Intelligenceで画像を生成する「Image Playground」

 一方で、これらの機能が多くの人に「ガッツリ刺さる」のかというと、やや微妙であるようには思う。

 確かにそれぞれは便利なものだ。必要な時は確実にある。しかし、毎日大量に使うかというと、そうでない人も多いだろうと思う。

 一方、「毎日使い、確実に便利」な機能もある。それが「メールや通知の要約」だ。

 例えば以下は、ある日の通知画面だ。筆者の日常そのものであるので、複数のモザイク処理が入っていることをご了承いただきたい。

iPhone上での通知。内容がまとめられ、要約されている点に注目

 複数の通知内容がアプリごとに要約され、「いい感じ」にまとめ直されているのが分かるだろう。

 この機能は、それぞれの機器にインストールされたアプリが出す「通知」で自動的に働くもの。要約精度の問題からAppleの「News」アプリは非対応となっているものの、Newsアプリ自体が日本では運用されていないので、大きな違いはない。

 その性質上、アプリの通知がたまってこないと動作が見えづらいので、Apple Intelligenceをオンにしてもすぐには変化が分かりづらく、数日以上経過すると目立つようになってくる。

 中でも有効なのが、メールやメッセージング系アプリの「まとめ」だ。前画像にもFacebook Messengerの通知がまとめられているが、ちょっと見ていない間になにがあったかを把握できて便利である。

 そして「メール」アプリでは、通知を含めた要約はもっと便利になっている。

 以下の画像は、Mac上で新着メールが通知された時のものだ。

「メール」アプリの通知。用件ごとに通知の「まとめと要約」が行われている

 2件の通知があるが、よく見ると2つのグループに分かれている。これは時間差によるものでもあるが、送信元情報をベースに「関連する複数のメールにどんな内容が含まれているか」をまとめて要約してくれているのである。これは非常に分かりやすい。

 次に、「メール」アプリ自体を見てみよう。

「メール」アプリ。件名が全て内容の要約になっている

 件名の部分にご注目いただきたい。

 一見今までと同じに見えるが、メールの件名にあたる部分は、単にメールのタイトルをそのまま表示しているのではない。メールの件名と内容から作った要約が、「件名」欄に納まるようにまとまっているのだ。

 しかも、前述のように、同じ送信元によるメール(返信でまとめてスレッド化されたもの)は、内容がまとめて要約されている。

 だから、ここの部分を見れば、どんな用件に関するメールかが非常に把握しやすい。

 次の画像は、件名部分を拡大したものだ。

件名部分を拡大。冒頭に「要約」マークが付き、メールの内容がうまく要約されている

 一番上にあるサムスンの告知メールもうまくまとめられている。しかし、前の画面を見ればお分かりのように、メール本文はHTMLメールで、タイトルや文面の冒頭だけでは内容が分かりにくい。この要約機能はちゃんと「メール本文全体」を見て、分かりやすい内容へとまとめなおしてくれているのが分かる。

 参考までに、同じメールをGmailで見た画像も示しておく。こちらはメールのタイトルをそのまま表示している。これでも分かりやすくはあるが、要約のあるAppleの「メール」アプリの方が視認性は高い。

Gmailでの表示。シンプルに件名が表示されているだけだ

 こうしたことは、Apple Intelligenceをオンデバイスで動かしているからできることだ。メールの内容は極めてプライベートなものだが、データが外に出て行かないオンデバイスAIなので、プライバシーや内容の漏えいを気にすることなく、メールの要約ができるのだろう。

 筆者はこれまで、iPhoneやMacの上でも「メール」アプリはあまり使わず、Gmailを主に使ってきた。

 しかし現在は、要約機能があまりに便利なので、「メール」アプリを併用するようになっている。

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