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LINEのトークが流出する理由 その原因と対策を考える(1/3 ページ)

» 2025年05月12日 11時30分 公開
[鈴木朋子ITmedia]

 俳優の不倫疑惑に関連して、「LINE流出」の文字がメディアやSNSをにぎわしている。

 思い起こされるのは、2016年1月に報じられたタレントとミュージシャンの不倫報道だろう。この時、2人のものとみられるLINEのトーク画面が雑誌に掲載された。その流出の原因として、「クローンiPhone」の可能性が報じられていた。

 クローンiPhoneとは、1つのLINEアカウントに複数のiPhoneで同時にアクセスすることを指す。しかし、LINEは16年2月にクローンiPhoneを不可能にする対策を完了している。

 また、LINEは16年2月、暗号化通信「Letter Sealing」(レターシーリング)を導入した。トークルームの「設定」を見ると、そのトークルームでLetter Sealingが有効になっていることを確認できる。現在のLINEではデフォルトでオンになっている機能だ。

トークルームのメニューから「設定」の「暗号化キー」を見るとLetter Sealingが適用されていると分かる

 Letter Sealingとは、「エンドツーエンド暗号化(E2E暗号化)」を利用したもので、LINEで送信者と受信者以外の人がメッセージの内容を解読できないようにするもの。この仕組みにより、サーバに保管されたデータやローカルにバックアップされたデータからトーク内容を復元するにはお互いの端末(スマホ)が必要であり、たとえ事業者(LINE)であってもトークの内容を復元することができない。

「設定」の「プライバシー管理」で「Letter Sealing」をオンにしておく

 ちなみに、フジテレビのアナウンサーとタレントに関する問題では、LINEを含めたデータがデジタルフォレンジックにより一部復元された。これは、デバイスのあらゆる情報を取得して分析を行う手法であるが、それでもLINEの復元は難しいとされている。

 それなら安心……。と言いたいところだが、LINEのセキュリティに関する問題はその後も発生している。LINEの個人情報が中国の開発委託先から閲覧可能であった問題(21年3月)や、韓国ネイバーがサイバー攻撃を受けてLINEの個人情報が漏えいした問題(23年11月)など、国を超えての問題も起きている。総務省はLINEヤフーに対して、資本関係の見直しを要請している。

 サーバ管理やサイバー攻撃までいくと個人でできる対策はないが、流出する理由はもっと身近な要因だったりする。通常の利用方法が安全かどうかを見直すには良い機会だ。本稿では、LINEのトークが流出する原因と対策を考える。

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