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オンラインカジノに「ブロッキング」が有効ではないと考える“3つの理由”小寺信良のIT大作戦(2/3 ページ)

» 2025年05月16日 09時00分 公開
[小寺信良ITmedia]

どのような対応が考えられるか

 オンラインカジノの問題は、単にアクセスして課金して遊ぶことが違法、というだけにとどまらない。広告展開やサイトの作り、利用規約、青少年保護の観点など、多数の問題が指摘されている。

 筆者が「Stake」というオンラインカジノサイトの利用規約について調査してみたところ、利用禁止国が列挙してある中に、日本の名前がなかった。また合法である地域からのアクセスの保証は利用者側の責任となっており、違法な国からのアクセスに対しては運営側には責任がないという立て付けになっていた。

Stakeの利用規約において、利用禁止国に日本の名前がない(総務省「オンラインカジノに係るアクセス抑止の在り方に関する検討会(第2回)」にて公開された、一般社団法人 インターネットユーザー協会提出の資料より抜粋)
その一方で、アクセスの合法性の保証は利用者側の責任となっている(同資料より抜粋)

 また広告についてはマスメディアではかなり自粛も進んでいるところだが、有象無象のネット動画共有サイトに挿入される広告は依然としてあるようだ。

 オンラインカジノへのアクセスそのものは違法ではなく、また無料で遊んでいるうちはただのオンラインゲームサイトと変わらないので違法ではないという解釈も存在する。しかし実際には無料と有料の境目が明らかでない、あるいは無料をうたいながら最初から有料でしか遊べないといったサイトも存在する。こうした違法サイトへの誘引を促す「広告」についても、違法化の方向で議員立法による議論が進んでいる。

 ここではおおまかに、オンラインカジノに関わる可能性があると筆者が考える法律をまとめてみた。法律の専門家からみればまた違った解釈もあるかもしれないが、その点はご容赦願いたい。

オンラインカジノに関わる可能性のある事項とその法律

 これ以外には、オンラインカジノでクレジットカードが使えてしまうことに関して、後払い、すなわち借金で掛ける事ができること自体が問題だろうという指摘もあるところだ。これに関しては政府からもクレジット会社へ注意喚起を行っているところだが、実際に決済するのはオンラインカジノとは関係ないように見える、いわゆるトンネル会社を通しているため、なかなか対策が進んでいない。

 また家族がギャンブル依存者本人のクレジットカードの停止を求めても、医師の診断書が無ければ止められないといった事情もあり、このあたりの仕組みがうまくいっていない。なぜ医師の診断書の入手が難しいかというと、ギャンブル依存の本人はただひたすらギャンブルがやりたいだけなので、医者になどかからないからである。ひとたび依存と診断されればギャンブルができなくなるからだ。

 民法における成年後見人制度を利用すれば、指定された第三者が本人の財産の管理が可能だ。だがその条件として、「精神上の障害により判断能力が著しく不十分」と家庭裁判所が判断できなければならず、これにはやはり医師の診断書が大きなポイントとなる。

 青少年保護という観点で見れば、18歳未満の青少年については青少年インターネット環境整備法によって、スマートフォンのフィルタリングが義務化されている。フィルタリングは年齢や学齢ごとにプリセットが設けられているが、そのどれもギャンブルに関してはフィルタリングされており、アクセスすることができなくなっている。従ってオンラインカジノ問題についても、フィルタリングは有効な手段だ。

 加えてオンラインカジノのほとんどはアプリ化されていることから、ペアレンタルコントロールによるアプリインストール制限も有効だ。ただ課題として、保護者がオンラインカジノのアプリ名など知らないという事である。無料のオンラインゲームならと許している保護者もあると思うが、アプリ名を知らなければ制限もかけられない。

 ここでは警察庁が25年1月に公開した調査資料より、オンラインカジノの主要40サイトの一覧を貼っておく。お子さんのスマホに該当するアプリがないか調べる参考にして頂きたい。

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