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Xの代替SNS「Bluesky」で特定意見が増幅するエコーチェンバー深刻……利用者半減(3/3 ページ)

» 2025年06月16日 10時14分 公開
[産経新聞]
産経新聞
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日本で活発なブルースカイ、アメリカと似た傾向も

 ブルースカイは、Xの共同創業者、ジャック・ドーシー氏らが立ち上げた「分散型」の新しいSNSとして、日本でも注目を集めた。XやFacebookのようにひとつの企業が中央集権的に管理する仕組みとは異なり、オープンなシステムが特徴だ。日本のユーザー数は米国に次いで世界トップクラスとされる。

 日本では、ブルースカイの利用者や、ブルースカイを活用するシステム開発者らによる交流イベントも盛んに開催されている。過去には、同社のジェイ・グレイバーCEOが交流イベントにオンラインで参加。「日本は開発者コミュニティが活発で素晴らしい」と称賛するなど、日本を重視する姿勢を見せている。

 南スイス応用科学芸術大学(SUPSI)の共同研究者、ジャンルカ・ノガラ氏らが5月5日に発表した論文は、「(ブルースカイへの)日本のユーザーの流入は興味深い傾向だ」とし、日本の利用者の多さに着目。24年2月6日に招待制が撤廃された後、日本語による投稿が急増し、少なくとも同年の2月7日から3月4日の27日間にわたり、日本語での投稿数が、英語やドイツ語、フランス語を抜いてトップに立ったと分析した。論文は、学術誌の出版前に公開されるサイト「arXiv」(アーカイブ)に掲載された。

 この研究は、ブルースカイ上では再共有(リポスト)された投稿よりもオリジナルコンテンツの量が多く、全体を通して信頼性の高い情報源を共有する傾向がある──といったポジティブな側面も明らかにしている。

 ただ、日本ではブルースカイに著名人の参加が進んでおらず、ユーザー数の伸び悩みの一因になっている。国会議員ら政治家はほとんどアカウントを持っていない。メディアや企業公式アカウントの参入も足踏み状態が続いている。

一方、アメリカと同様に日本でも、マスク氏のトランプ政権への参画が明らかになった昨年11月、Xを離れてブルースカイに参入するユーザーが急増した。

 こうした経緯もあり、ブルースカイの日本語ユーザーの間でもマスク氏やトランプ氏に批判的な投稿が活発だ。進歩派インフルエンサーが多く、保守派インフルエンサーが少ない状況は、アメリカと似ている。

 SNSの普及は、プラットフォームの仕組みや運営体制に加え、ユーザー同士のコミュニティーの魅力や多様性、寛容さが鍵を握る。アメリカでエコーチェンバーが問題化する中、日本でブルースカイの利用が拡大するかどうかは、ユーザーの意向や行動にも影響されることだろう。(西山諒)

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