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「ポラロイドといえば」が詰まった新型インスタントカメラ「Polaroid Flip」 懐かしさの裏にある最新技術とは?(2/3 ページ)

» 2025年06月21日 08時14分 公開

 もう一つ興味深いのは、1980年代に使われていた超音波距離センサーの復活です。現代の技術力で再構築されたこのセンサーは、当時とは比較にならない精度と信頼性を実現しています。

一応、自撮りもできます

 動作原理はシンプルで、カメラが前方に超音波を発信し、被写体に反射して戻ってくる時間を計測することで距離を算出。最適なレンズとフラッシュ設定を自動的に選択というものです。

 フリップ式の「ふた」部分には、「ポラロイド史上最も使いやすい」というフラッシュを搭載しています。このフラッシュシステムは光量が強化されており、最大で4.5m先までしっかり照らすことができます。光の均一性も向上し、写真全体にバランスよく光が届く設計になっています。さらに被写体との距離に応じて光量を自動調整する機能も搭載しています。

 実際の撮影では、フラッシュありとなしで明確な差が確認できました。特に室内での撮影では、フラッシュの恩恵が顕著に現れます。

アナログフィルムを楽しむユーザーの間では、このいかにもフラッシュを使った写真こそ楽しいという傾向もありますから、今回のPolaroid Flipのフラッシュはこの要望に応えたといってもいいでしょう。

当日撮影した写真をスキャンしたもの

 Polaroid Flipは、撮影の失敗を防ぐ実用的な機能も搭載しています。露出警告機能は、ビューファインダー内のLED表示で露出オーバー・アンダーを事前に警告します。近距離警告機能は、被写体に近すぎた場合に警告表示を行い、撮影支援機能により撮る前にしっかりお知らせします。これらの機能により、撮影者はアナログ写真でありがちな「撮影してから大失敗に気づく」リスクを減らすことができます。

日本市場で「チェキ」と差別化できるか?

 イベントでは、競合でもある富士フイルム「チェキ」(instaxシリーズ)との関係についても触れました。

担当者のプレゼンの様子

 ポラロイドとしては富士フイルムをリスペクトしており、「競合ではなく、富士フイルムとは異なる選択肢を提供している」と考えているとのこと。「チェキはカジュアルでパーティーなどが似合うが、ポラロイドは写真表現力重視。特別な1枚のための道具なのでターゲットが違う」と話していました。

 ポラロイドのこの主張は、実際に製品を触ってみると納得できるものがあります。そもそもFlipはチェキよりもボディサイズも大きいですし、例えば二重露光をする際などは三脚を使って撮影するようなカメラです。

 また、日本市場については、世界有数の消費市場規模、インスタントカメラユーザーの多さ、根づいた写真文化と優れたフォトグラファーの存在、良い製品を正当に評価する市場特性といった理由で期待していると話していました。

Polaroid Flipのイメージスケッチ

 実際にPolaroid Flipを手に取ってみると、そのサイズ感になつかしさを覚えます。そう、ポラロイドといえばこれこれ! というサイズです。一応、自撮りもこなせるというサイズでもあります。

 閉じた状態から、スムーズに撮影に入る感じも、実にポラロイド的です。操作の流れは非常にシンプルで、フィルムを装填してドアを閉じると自動的にフィルムが起動し、フリップを開くと電源が自動でオンになります。シャッターボタンを半押しすると距離測定とレンズ選択が行われ、全押しで撮影完了となります。

 そして撮影が終われば、フリップを閉じることでカメラを安全な状態で持ち運ぶことができます。この一連の撮影の流れこそが、ポラロイドらしさと言ってもいいのです。

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