トランプ米大統領は7月1日、連邦政府の支出を削減するため、米電気自動車(EV)大手Teslaなど、実業家イーロン・マスク氏の経営する企業への補助金削減を政府効率化省(DOGE)が検討すべきだとの考えを示唆した。
マスク氏がトランプ氏の減税・歳出法案を改めて批判したことで、両氏の対立が再び激化した。
米上院は1日、トランプ大統領の看板政策を盛り込んだ大規模な減税・歳出法案の採決を実施し、賛成51、反対50で可決された。法案は下院に戻され、2日にも討議され、採決が実施される見通し。
トランプ大統領は1日、ホワイトハウスで記者団に対し「彼(マスク氏)はEV義務化を失うことに腹を立てている。非常に腹を立てているが、それ以上に多くのものを失う可能性がある」と述べた。
マスク氏の事業、特にTeslaと米Space Xは、連邦政府のさまざまな契約・政策や補助金、税額控除に大きく依存しており、長年にわたり数百億ドルの収益を得てきた。テスラに適用されるこれらの優遇措置の一部、中でもEV購入に対する消費者税額控除などはトランプ氏の減税・歳出法案で廃止の対象となっている。
Teslaの株価は1日の取引で5%超下落した。
Teslaは現在、テキサス州オースティンでロボタクシーの試験を行っている。同社のロボタクシー拡大のスピードも、自動運転車に関する州および連邦政府の規制に大きく左右される。
Teslaの投資家である米Deepwater Asset Managementのマネジングパートナー、ジーン・マンスター氏は「Teslaのバリュエーションは現在、実質的に自動運転の進展に基づいている。その点では何も起こらないと思うが、それがリスクだ」と語った。
トランプ氏は自身のソーシャルメディア「Truth Social」に「イーロンは史上最も多くの、飛びぬけた額の補助金を得ている人物かもしれない。補助金がなければ、イーロンは恐らく会社をたたんで南アフリカに帰らなければならないだろう」と投稿。
「ロケットの打ち上げも、衛星も、電気自動車の生産も、もうなくなる。米国は大金を節約できるだろう。恐らくDOGEにこの問題をしっかり検討させるべきではないか? 巨額の金を節約できるだろう!!」と述べた。
トランプ氏の投稿に対し、マスク氏は「私は文字通り全てをカットしろと言っている。今すぐに」とXに投稿した。
マスク氏は、トランプ氏が強力に推し進める大型減税・歳出法案を非難している。6月30日には、同法案を支持した議員らの議席を奪うと主張。法案の巨額支出が「われわれが一党制国家に住んでいる」ことを示すとし、新たな政党の必要性をあらためて訴えた。
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