全く純粋な好奇心から本を選ぶケースと、仕事に関連してまとまった知識を得たいと考え選ぶケースがあります。前者についての話になりますが、子供のころから本好きで、歴史、経済、国際関係、社会学、哲学、経営、物理、数学、生物学、人類学、工学、ノンフィクション、SF、時代物、純文学など節操がありません。
ただ振り返ってみるとジャンルごとに特定の好みの筆者がいてその方をフォローしている傾向があります。本は重く場所をとるので、過去に何回か断捨離もしました。数年前から所有書籍の電子化に取り組み、新規購入も極力電子書籍に切り替えていますが道半ばです。
30代〜50代の社会人が読むことを念頭に3冊ほど選んでみました。1冊目は「青春漂流」(立花隆著)です。学生時代に読んで強い影響を受け、結果的に過去のキャリア/経験を捨てて新しい世界に飛び込んだことが3回ありました。自分の内なる声に正直になろうとすると必然的にメジャーな既定路線からドロップアウトせざるを得ない。若い世代はコスパとか効率性を重視している話もありますが、これでいいのかと迷いと惑いの中にいる方を応援する本と思います。
2冊目は「V字回復の経営」(三枝匡著)です。40代前半のころの話ですが、ある社内の改革プロジェクトに関わり、自分としてベストを尽くしたつもりですが結果が伴わず、ある種の「燃え尽き症候群」の状態に陥った事があります。その時、出会った本です。目からウロコがボロボロ落ちる思いでした。その後もいろいろなプロジェクトに関わる度に何回読み返したか分かりません。
「頭で分かる」と「体に刻まれる」の違いも学びました。この本を含む三枝氏の4部作は、ターンアラウンド(事業再生や経営改革)と新事業創成を仕事にする人にとって、自ら実践を試みた後に読み返すと余計にしみるものがあるように思います。
最後は「『世界の終わり』の地政学」(ピーター・ゼイハン著)です。最近読んで興味深かった本の一つです。歴史的、経済学的見地から定量的に分析、過去70年間続いた経済のグローバル化がなぜ起きたのか、なぜそれが崩れはじめているか、そしてその結果、今後何がもたらされるのか、非常に多くの示唆がありました。
日立製作所生産技術研究所(当時)入社。工場の生産システム革新に従事。研究所の部長を経て、HDD事業会社のグローバルSCMの生産統括部長として実務オペレーションに従事。2012年から欧州/日本を中心に、分散電源などを活用した新しいデジタルサービスの各種事業創成に奔走。22年、デジタルシステム&サービス統括本部CTO、24年から同統括本部CSO兼CTrO(Chief Transformation Officer)に就任。
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