愛知県豊明市議会は9月22日、スマートフォンなどの使用に関する「豊明市スマートフォン等の適正使用の推進に関する条例案」を可決した。条例は10月1日に施行される。小浮正典市長は同日、市のWebサイト上で声明を発表し、「最大の目的は睡眠時間の確保」だと説明。「市民の権利を制限するものではない」と強調した。
条例は、特に18歳未満の市民に向けて、スマートフォンなどの利用が適切な睡眠時間の確保を妨げないよう、自主的な見直しを促す内容。第4条には「余暇時間におけるスマートフォン等の使用は1日当たり2時間以内を目安とするよう、市、保護者、学校等及び専門職等が連携して促す」と記載されている。罰則規定は設けられていない。
この「2時間」は、仕事や学習、通勤通学などを除いた“自由に使える余暇時間”を対象とする。小浮市長は「睡眠時間や家族との関わりに支障がなければ、3時間や4時間でも構わない」と述べ、「あくまで目安であり、過剰使用にならないよう促すだけ」と明言。「2時間を超えたらだめ」といった相互監視は「意味のないことなので控えてほしい」と呼び掛けている。
市議会ではあわせて附帯決議も可決された。決議では(1)市民の自由や多様性の尊重、(2)誤解を招かない説明と情報提供、(3)子どもや保護者との連携と支援、(4)市民からの意見収集の継続、(5)条例の効果検証と見直しの仕組み――の5項目を盛り込み、市はこれらを尊重した啓発活動を進めるとしている。
条例案を巡っては8月、一部メディアが「スマホ1日2時間条例案」などの見出しで報じたことをきっかけに、ネット上で批判的な声が相次いだ。これに対し豊明市は、「主にネット上で誤った記述が散見される」として声明を発表。小浮市長の名義で「条例案はスマホの機能を肯定した上で、過剰使用が悪影響を引き起こさないよう対策を推進することを目的としたもの」と説明していた。
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