トヨタの実験都市「Woven City」が9月25日にオープンした。静岡県裾野市にあった東富士工場の跡地を利用し、最大2000人が住む1つの街を作るプロジェクトで、新しいモビリティやサービスなどをテストする実験場として機能する。今回オープンした「Phase 1」は、最終的に300人程度の居住を予定している。
Woven Cityは、サービスやプロダクトなどを計画・開発する「Inventors」と、サービスをテスト・フィードバックする「Weavers」の二手に分かれる。開発者とユーザーが同じ住居スペースに集うことで、ローンチ前のサービスやプロダクトのテストを高速に進め、改善につなげることを目的としている。
こうした実験場として活用する企業もInventorsとして参加しており、街作りを主導したウーブン・バイ・トヨタのほか、アイシン、デンソーといったトヨタグループ12社に加え、ダイキン工業、日清、ダイドードリンコ、UCC上島珈琲、Z会、共立製薬のほか、ロケット開発のインターステラテクノロジズ、アーティストのナオト・インティライミ氏を含む8者が参画する。
オープンに当たり、会見を開いたウーブン・バイ・トヨタのSenior Vice Presidentであり、豊田章男氏(トヨタ自動車 代表取締役会長)の長男でもある豊田大輔氏は、「さまざまな地域のスマートシティを勉強してきたが、我々が作っているのはスマートシティではなくモビリティのテストコース。作って試すのが主眼。なにか完成品をここで作ろう、提供しようというわけではない」とし、「Woven Cityならではの、ものづくりの強みを持ったトヨタグループ各社や、さまざまな強みを持った企業の方々が同じ場所にいることによって、新たな取り組みが生まれやすい場所になる」とした。
また、Woven City構想発表からオープンにいたる5年の間に起こった自動車業界の変化について、ウーブン・バイ・トヨタ代表取締役CEOの隈部肇氏は「(トヨタは)ARENEやADASの開発をしっかりやってきている。トヨタは世界中に多くの車を売っており、そこは計画的に進めている。Woven Cityでその先なにができるか、これから安心安全を高めていくには、車だけじゃなく人やインフラにフォーカス、三位一体で行う必要がある」「Woven Cityはそれができる場。車だけでなくインフラの開発もしっかりできる」と述べた。
なお、すでに数世帯が住んでおり、周辺の家賃相場を鑑みた金額が設定されているという。豊田大輔氏も初期の入居者の一人だとしている。また、豊田章男会長も「Master Weaver」として入居予定と明かした。
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