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スマホのハイエンド撮影で直面するストレージ不足 外付けSSDを“自分で作る”という選択肢はいかが?小寺信良の「プロフェッショナル×DX」(1/2 ページ)

» 2025年10月07日 17時00分 公開
[小寺信良ITmedia]

 昨今、スマートフォン向けSSDがじわじわと人気のようだ。iPhoneもAndroidもUSB-C端子になり、背面に磁石が付いたことにより、SSDの仕様が共通化できるようになったこともあるだろう。

 そもそもこのクラウドの時代に、スマートフォンの容量が足りなくなるというのは不思議な話ではある。だがよくよく考えてみると、昨今スマートフォンのカメラで4K撮影が当たり前になったことで、同じフォーマットでもビットレートが上がり、ファイルサイズが飛躍的に大きくなったからではないかと思われる。

 こうした動画は編集してネットに上げることで消費していくわけだが、素材としての動画をクラウドに保存するのは、容量と通信量の無駄遣いである。一定時間ローカルにあればいいということで、外部SSDに退避という方法が取られるようになった。もちろんPCで編集するにも、メディアが取り外せたほうが便利である。

 これに関連してもう1つ考えられる理由は、スマートフォン価格の高騰だ。すでに10万円以内で購入できるモデルはあまりなく、ストレージ容量が多ければ20万円台に突入する。だが容量が少なくても機能的に同じであれば、少ない容量のモデルを選択して、足りなければ外部SSDで補間すればいいという考え方もあるだろう。

 そんなことからじわじわと人気を集めているスマートフォン向けSSDだが、そもそもスマートフォンユーザーがSSDに詳しくないこともあるのか、有名ブランドに人気が集まるということもなく、これまでほとんど知られてこなかったメーカーが台頭してきている。

 もちろん、多く売れているのであればそれなりに信頼性はあるのだろうが、規格通りのパフォーマンスが出るのかは、実際にテストしてみなければわからない。中身がどんな素性のSSDなのか、わからないからだ。妙に安いと思ったら容量偽装や速度偽装が行われているかもしれず、油断ならない。

 とはいえ、スマートフォン用のアプリで外部ストレージの速度が計測できるアプリはほとんどない。以前は存在したが、セキュリティ強化のため、OSのアップデートに伴って次第に使えなくなってきている。

 つまり、スマートフォンでしか使っていない人は、自分のSSDのパフォーマンスがスペック通りなのかを調べる方法はほぼないということになる。もちろんPCやMacに接続すれば計測できるが、それはUSBポートの転送速度に左右される。PCでいいパフォーマンスが出ても、スマホ側のUSBポートが遅ければパフォーマンスは落ちる。多くの人は、使えているからいいやという感じなのかもしれない。

SSDを自分で作るという選択肢

 一方で、信頼できるSSD基板を自分で選択し、ケースを買って自分で外付けSSDを作るという方法もある。これなら、速度的にも素性も納得できるだろう。

 以前SHARGEというメーカーから、SSD用のエンクロージャをサンプルとしてお送りいただいていた。「SHARGE Disk Plus」というモデルで、厚みが6mmしかないということから、人気が高いようだ。USB-C 3.2 Gen2 10Gbpsの転送速度を保証している。これに自分で買ったSSD基板を入れて、ストレージ化するわけである。

薄型の「SHARGE Disk Plus」

 使用できるのは最大2TBのM.2 NVMe SSDで、サイズは2280/2242/2230の3タイプに対応する。サイズの読み方は、最初の2桁が幅で、末尾2桁が全長だ。当然大きい方が集積度が低いので、価格的にはこなれている。

 最大容量の2TBで探したところ、2280なら概ね1万5000円前後のようだ。SHARGE Disk Plusが1万円ぐらいなので、合計すると市販の2TB SSDとほぼ同じ価格だが、パフォーマンスが保証できるところが強みである。

 ここで注意したいのは、SSDのセル方式である。現在TLC(Triple Level Cell)とQLC(Quad Level Cell)の2種類がある。これはその名前の通り、1つのセルに何ビット格納できるかを表しており、TLCは3ビット、QLCは4ビットということになる。

 QLCの方は安く大容量化しやすいが、その代わり転送レートが遅いという弱点がある。昨今はキャッシュを搭載することで、小さいデータであればTLC並みの速度が出るが、キャッシュを超えた時点で遅くなる。動画を連続記録することを考えれば、TLCの方を選択するべきだろう。

 今回購入したのは、Biwin NV7400 2TB SSD NVMe2.0 M.2 Type 2280 PCIe Gen4×4というSSD基板で、TLCである。転送速度はリード7450MB/s、ライト6500MB/sとなっている。

今回購入したSSD基板

 ただしケース側の最高速度が10Gbpsなので、計算すると約1250MB/sということになる。SSD基板からすれば、速度的にはまだ余裕がある。

 ケースへの組み込みは、PCにメモリーを挿したことがある人なら簡単だろう。ケースの中を開けてSSD基板を差し込み、ネジ止めして熱伝導シートを貼れば完了だ。

SSD基板を装着したところ

 SHARGE Disk Plusの特徴は、USBーC端子が2つあることだ。C1端子はストレージ接続用で、挿したポートが電力をSSDに供給する。

接続にはこちらのUSB-C1端子を使用する

 もう1つのC2端子は電力供給用で、SSDに電力供給するほか、C1端子の方にもスルーして電力が出せる。例えばスマートフォンに対しては、C1とスマホを接続し、C2にモバイルバッテリーなどを接続しておけば、SSDを使用しながらスマホの充電ができる。

反対側に給電用のC-2端子がある

 ただケース本体にはマグネットがない。なのでスマホに貼りたいのであれば、別売のマグネチックパッドがあった方がいいだろう。ただこれの厚みが3mmぐらいあるので、トータルでの厚みは9mmぐらいになるのが残念なところだ。

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