米Microsoftは11月6日(現地時間)、Superintelligence(スーパーインテリジェンス、超知能)研究チームを立ち上げると発表した。Microsoft AI(MAI)グループを率いるムスタファ・スレイマンCEOは公式ブログで、「定義が曖昧で空想的な超知能ではなく」、人間中心主義に根ざした「ヒューマニストスーパーインテリジェンス」(HSI)を構築すると述べた。
MAI Superintelligence Team立ち上げの目的は、世界で最も優れたAIの研究・構築拠点となることであり、現実の具体的な問題を解決するために明示的に人類に奉仕することのみを意図した実用的な技術を構築することという。
スレイマン氏は、業界内の「AGI競争」(競合するAI関連企業や研究機関がAGIや超知能の達成を巡って速さを競い合うこと)のあり方を否定し、MAIは、方向性のない技術的な目標を追うのではなく、この技術が常に人類に利益をもたらすよう確保することが、この時代における最も重要な問題であり、いかなる研究開発アジェンダよりも人類の長期的な利益を明確に優先すべきであると主張する。
Microsoftはこれまで、独自のAGI開発を米OpenAIとの契約で制限されてきたが、10月28日に発表した米OpenAIとの契約更新によって可能になった。
同氏はHSIを、人類とその利益のために常に機能する、極めて高度なAI能力と定義する。HSIのアプローチでは、「危害を積極的に回避し、それから加速する」という点が鍵となると説明した。人類が常に主導権を握っているために、具体的な制限内で慎重に調整・文脈化されたAIを目指しているという。
超知能の封じ込め(セキュリティと制御)とアライメント(人類に危害を加えないように十分配慮させること)を永続的、継続的に行うことが、21世紀における喫緊の課題であるとしている。
HSIの具体的な応用分野としては、学習、生産性、精神的負荷の軽減を助ける「万人のためのAIコンパニオン」、医療で専門家レベルの能力を提供する「メディカルスーパーインテリジェンス」、2040年までに安価で豊富な再生可能エネルギーの生成と貯蔵を実現するための「クリーンエネルギーの増強」を挙げている。同社は10月、AIコンパニオン「Mico」を紹介している。
スレイマン氏は、このアプローチが人類に尽くす限りにおいて、超知能は史上最高の発明になり得ると結論づけている。
OpenAIが組織再編、営利部門をPBCに Microsoftとの契約更新も
Microsoft、カイルくんのようなAIキャラを「Mico」と命名
Microsoft、OpenAIに頼らない初の自社製基盤モデルと高効率な音声AIを発表
Microsoftとの契約更新で、OpenAIは他社のクラウド購入可能に
Microsoft、AI部門新設 出資先Inflection AIのCEO(DeepMind共同創業者)引き抜きCopyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR