このコーナーでは、2014年から先端テクノロジーの研究を論文単位で記事にしているWebメディア「Seamless」(シームレス)を主宰する山下裕毅氏が執筆。新規性の高い科学論文を山下氏がピックアップし、解説する。
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英国では低所得世帯向けに、データセンターの廃熱を活用した家庭暖房システムの実証実験を開始している。英国の電力供給事業者・UK Power Networksが主導する「SHIELDプロジェクト」の一環として、英エセックスの夫婦が国内初の試験導入者となり、光熱費削減を実現。設置したデータセンター「HeatHub」は、英国のスタートアップ企業・Thermifyが開発した。
BBCの報道によると、テレンス・ブリッジズさんと妻のレスリーさんは、ガスボイラーを撤去し、庭の小屋に小型データセンター「HeatHub」を設置。これにより、月額の電気料金を375ポンド(約7万7000円、1ポンド=約205円)から40ポンド(約8200円)にまで削減することに成功したという。
今回設置したHeatHubは、ガスボイラーの代わりに暖房器具や給湯器などどして使えるようThermifyが開発したもの。500台以上のミニコンピュータ(Raspberry Pi)がデータ処理を行う際に発生する熱を石油で吸収し、家庭の温水システムに転送する仕組みだ。
SHIELDプロジェクトは、低所得世帯がネットゼロ(温室効果ガスの排出量をゼロ)への移行を実現できるよう支援することを目的として、2023年3月に始まった。総予算540万ポンド超(約11億865万円)のこのプロジェクトは、暖房費を賄えない可能性のある住民を対象としている。
プロジェクトは、エネルギーサービス会社(米ESCo)と提携し、外部資金を活用して住民に初期費用ゼロで発電・暖房技術を提供する。資金面については、この技術を通してESCoが電力ネットワークに、供給調整の機能を提供することで得られる収益から回収する仕組みだ。重要な点は、暖房を動かす電気代が他者によって支払われるため、クリーンで環境に優しい熱を低価格で提供できることにある。
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