ロボット掃除機「Roomba(ルンバ)」でしられる米iRobotは12月14日(現地時間)、米国連邦破産法第11条(チャプター11)の適用を申請し、製造パートナーである中国Shenzhen PICEA Roboticsの支援で事業を継続すると明らかにした。ロボット掃除機の先駆けであり、その代名詞にもなっているルンバに一体何があったのか。iRobotの歴史と共に振り返る。
iRobotの設立は1990年。マサチューセッツ工科大学(MIT)の「AIラボ」で所長を務めていたロドニー・ブルックス氏と、彼の教え子だったコリン・アングル氏、ヘレン・グレイナー氏の3人で創業した。iRobotという社名は、アイザック・アシモフのSF小説「われはロボット(原題:I, Robot)」にインスパイアされたものだ。
もっとも、最初から民生機市場を目指していたわけではなかった。ブルックス氏は、1986年にロボットの人工知能に生物学的なアプローチを持ち込んだ「Subsumption Architecture(サブサンプション・アーキテクチャー)」を提唱し、ロボット開発に多大な影響を与えた重鎮。そしてSA理論を実践・具現化するために設立されたのがiRobotだった。このため当初のiRobotは、企業や公的機関からの委託研究を中心に様々なロボットを開発していた。
例えば1991年の「Genghis(ジンギス)」は火星探査機、96年の「Ariel」は地雷除去ロボットだった。ちなみに初期のルンバが同じ場所を何度も行き来して床面を掃除する機能は、見逃しが許されない地雷探査のノウハウを生かしたというエピソードもある。
そんなiRobotの転機は、洗剤メーカーのSC Johnson Waxと業務用の清掃ロボットを共同開発したこと。当時のエンジニアたちが家庭用のロボット開発を思いつき、その後のルンバ開発につながる。2000年に玩具メーカー大手の米Hasbroと共同開発した赤ちゃんロボット「My Real Baby」などを通じて民生機のノウハウを培っていたことも幸いした。
初代ルンバを米国で発売したのは2002年。当初はシンプルに床をバキューム掃除するだけだったが、一部を重点的に掃除するスポットモードやスケジュール機能を追加した後継機を投入し、次第にヒット商品となる。
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