米国務省は12月23日(現地時間)、外国政府や関連組織による検閲活動に関与したとされる人物を対象に、米国への入国を原則として認めないビザ制限措置を講じたと発表した。発表はマルコ・ルビオ国務長官名義で行われ、「グローバルな検閲産業複合体」と呼ぶ一連の動きに対抗するための措置だとしている。
対象となったのは5人で、いずれも米国外において、米国の個人や企業、特に米国を拠点とするIT企業に対し、特定の政治的見解や意見の表明を検閲、抑圧、または収益化停止するよう圧力をかける取り組みに関与したとされる人物だ。ルビオ長官は、こうした行為が米国の外交政策上、潜在的に深刻な悪影響を及ぼし得ると判断したと説明している。
今回の措置の対象者について、ルビオ長官は発表文で氏名を挙げなかったが、国務次官のサラ・ロジャーズ氏がXへの一連のポストで特定した。
昨年9月にEUの域内市場担当欧州委員を辞任したティエリー・ブルトン氏、米Centre for Countering Digital Hate(CCDH)のイムラン・アハメドCEO、独非営利団体HateAidのヨゼフィーネ・バロン氏とアンナ=レーナ・フォン・ホーデンベルク氏、Global Disinformation Index(GDI)の共同創設者のクレア・メルフォード氏の5人だ。
措置の内容は、対象者の米国への入国を禁止するビザ制限が中心で、国土安全保障省(DHS)が一部個人について退去強制手続き(removal proceedings)を開始し得る、つまり状況によっては退去強制の対象になり得るとも説明している。
米Reutersはこの措置の背景として、米政府がEUのデジタルサービス法(DSA)を、ヘイトスピーチや偽・誤情報対策を名目にしつつも言論を萎縮させ、米IT企業にコストを課すものだとして反発を強めている点を挙げている。今回のビザ制限は、こうした対立構図の中で、欧州側のコンテンツ規制・モデレーションをめぐる動きを検閲と位置付けて圧力を強める一手だと報じている。
この発表を受けて、対象の1人であるブルトン氏は自身のXアカウントで今回の措置を批判した。「マッカーシー時代の魔女狩り再来か?」と述べ、米国の対応を疑問視する姿勢を示した。また、欧州連合(EU)が2022年にDSAを全会一致で可決した点を強調した。
EU、Googleを独禁法調査 「AIモード」やYouTubeでのAI利用が競争法違反の疑い
EUがXにDSA違反で約217億円の制裁金、イーロン・マスク氏は「bullshit」と反発
欧州委員会、Appleのマップと広告もDMAゲートキーパー指定を検討開始
X(旧Twitter)、反ヘイト団体CCDHを本当に提訴 「データを不正に収集した」Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR