出展していたのは中国企業だけではない。例えば、ドイツのNeura Roboticsも大きなブースを出展し、二足歩行ロボット「4NE1」「4NE1 mini」を複数展示していた。もともとは協働型の産業用ロボットを展開するスタートアップだったが、24年に二足歩行の人型ロボを発表している。産業用だけでなく家庭用も考慮されており、拙くはあるがマニピュレーターを使って洗濯物の仕分けを行っていた。
すでに複数の日本企業と提携しており、川崎重工はNeuraのプラットフォームを利用して協働型ロボットを開発しているほか、オムロンとも認知機能を持ったロボットの産業利用についてパートナーシップを結んでいる。
韓国の家電大手LGも人型ロボを展示していた。「LG CLOiD」と名付けられた上半身だけ人型のロボットは、VLM(視覚言語モデル)、VLA(視覚言語行動モデル)を搭載し、LGのスマート家電と連携した「ゼロ労働ホーム」というビジョンを実現するためのもの。ロボット掃除機などのノウハウを生かした車輪付きベースで家の中を移動でき、調理や洗濯などの家事を実行できるという。といってもあくまでコンセプトなので、衣服を折りたたむのに数分かかっていたものの、家庭内でのフィジカルAIがどういったものかを具体的に見せてくれたのは大きい。
しかもLGはロボット用のアクチュエーターブランド「LG Actuator AXIUM」を新たに立ち上げた。アクチュエータはロボットの関節として機能し、モーター、制御部、速度とトルクを制御する減速機を統合している。 CLOiDはこのショーケースとしての側面もあり、ロボット本格普及時代に向けてパーツサプライヤーとしてのポジションを確立する狙いもある。人型ロボ用モーターは中国勢や韓国勢が台頭してきており、先述のUnitreeも自社開発したモーターやセンサーを外販している。高性能・低価格なサプライヤーが充実することで、人型ロボを開発する環境はさらに整いつつある。
また、「Korea Humanoid Manufacturing AX」と称したブースで、韓国のスタートアップや研究機関が開発する人型ロボを複数展示。NVIDIAのパートナーでもある韓国のAeiROBOTは、工場などのラインを想定したブースを用意。ロボットが仕分けしたカゴをラインに流し、それを別のロボットが掴み、棚に収納する様子を披露していた。この企業は、韓国の産業通商資源部のロボット産業に関するR&D事業に採択されており、同社のロボット「ALICE」は、韓国の造船・建築現場への導入が始まっているという。
一方で気になったのが日本勢の動きだ。早くから人型ロボを開発してきた日本だが、CESでは殆ど存在感がなかった。産業用ロボット大手のファナックや、二足歩行ロボを開発している川崎重工などの出展はなく、日本のロボットスタートアップも見つけることは出来なかった。人型ロボが実用になるにはまだ道半ばだが、姿勢制御や自律行動に必要なAIは機械学習・生成AI方面から、ロボット本体に必要なモーターやアクチュエーターはドローン・EV方面から、必要なコア技術がソフト・ハード両面で揃ったのが“人型ロボ大量発生” の背景にある。ロボット先進国だった日本がこのトレンドの中心にいないのは寂しさを感じる。
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