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プルデンシャル生命、顧客から金銭詐取など31億円 社員106人関与 暗号資産投資に勧誘→システム締め出しも

» 2026年01月16日 14時31分 公開
[ITmedia]

 プルデンシャル生命保険は1月16日、元社員など106人が、顧客から金銭をだましとったり、金銭を借りたりする不適切行為をしていたと発表した。顧客から受け取った金額の総額は30億8000万円に上る。顧客に暗号資産への投資を勧める一方で、投資システムにログインできないようにし、返金を受け付けない事案などがあったという。経営責任を問うとして、間原寛代表取締役社長CEOは2月1日付で辞任する。

photo 同社の発表から引用(以下同)

 プルデンシャル生命保険は顧客への不適切な勧誘行為の発覚をきっかけに、2024年8月から社内調査を行っていた。209万通の手紙や13万人への架電、70万通のメールなどを通した調査の結果、保険業務に関連しないものの、元社員など106人が不正を行っていたことが明らかに。計498人が合計で約30億8000万円の被害に遭っていたことが分かった。

photo 調査手法

 不正は大別して顧客に投資を持ちかけて金銭を受け取る行為と、顧客から金銭を借り受ける行為などがあった。前者では、元社員など41人が顧客188人から25億2000万円、後者では91人が312人から5億6000万円を受け取っていた(それぞれの人数は一部重複)。このうち23億円近くは未返金という。

photo 不正の概要

 さらに、社内規定で認められていない金融商品を顧客240人に紹介する行為も別途確認した。社員や元社員への金銭授受はなかったものの、別の事業者に合計で約13億1000万円が支払われていたことが分かった。こちらも10億5000億円近くは未返金という。

 一連の不正について、同社が確認した事案の具体例は以下の通り。

  • (元)社員が国内で登録・認可等を受けていない企業や投資商品を紹介し、その後に当該企業が業務停止となり、お客さまに返金されなかった事案
  • (元)社員が「自分ももうかっているので投資しないか」などと仮想通貨の投資関係者を紹介し、お客さまが投資を行ったが、当該投資にかかるシステムにログインできなくなり、お客さまに返金されなかった事案
  • (元)社員が「自分の顧客が行っているファクタリング投資に参加すれば月利10%を得られる」などと説明のうえ金銭を受け取り、当初は配当金が支払われるもその後は滞り、お客さまに返金されなかった事案
  • (元)社員が「自分は資産運用の専門家であり、投資で資産を築いた実績がある。自身へ金銭を預託すれば元本が減るリスクを負うことなく高配当を得ることができる」などとかたり金銭を受け取り、お客さまに返金されなかった事案
  • (元)社員が「建築用材の会社に投資して運用するので、投資金として金銭を貸して欲しい」と依頼し、借用書を作成のうえ金銭を借り受けたが、お客さまに返金されなかった事案

 調査ではこの他、3人の元社員が保険業務に関する不正を行っていたことも発覚した。うち1人の不正は24年に発表済みだが、他にも熊本支社の元社員が3人の顧客に「社員しか買えない株があり、絶対利益が出て元金は保証するからお金を預けてくれないか」と持ち掛け金銭を受け取った事案などがあった。3人は計8人の顧客から、合計で約6000万円を受け取っていたといい、それぞれ補償やそれに向けた事実確認などを進めているという。

photo 元社員3人に関する事案の概要(以下同)

 同社は事案の原因として(1)「営業社員の収入の不安定さ」、(2)「創業以来のビジネスモデルを所与のものと捉える経営姿勢」、(3)「組織風土」──などがあったと分析。(1)については「業績に過度に連動する報酬制度が、金銭的利益を重視する志向を持つ人材を引き付け、不適切行為につながるリスクを増大させていた」としている。

 (2)については「個々の不適切行為の発覚に際し、都度調査および対応は行っていたものの、取締役会や執行役員会において、ビジネスモデルそのものに内在するリスクに踏み込んだ十分な議論と検証を行っていなかった。創業以来のビジネスモデルを所与のものと捉える経営姿勢があったため、抜本的な変革をちゅうちょする組織風土が形成されていた」という。

 (3)については「営業社員への過度な尊重」「高業績者が大いに称賛される」という組織風土により「営業諸制度などにおいて、営業社員は新規の契約とその継続によって主に評価がされる。そのため業績が良く、より高い資格に認定され、多くの表彰を得ている営業社員は、お客さまからの評価や信頼も得られているものと認識がされやすく、結果、その発言権が大きくなりがちなところがあった」としている。

photo 同社の原因分析(一部抜粋)

 同社はすでに再発防止に向けた施策を進めており、営業管理職の報酬制度改定や、営業活動をモニタリングする仕組みの強化、採用プロセスの改善、組織風土改善を進めているという。今後は不適切行為のあった社員や元社員を処分する他、事案に応じて警察への通報・相談も進める。

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