米ラスベガスで開催された「CES」で最も話題をさらったものといえば、米Boston Dynamicsの二足歩行ロボット「Atlas」だろう。基調講演で披露された滑らかで人間離れした動きはSNSを中心に大きな反響を呼んだ。YouTubeでしか見られなかったAtlasの実機が公の場に登場したこと、そして量産モデル投入を発表し、二足歩行ロボットの商業化に踏み切ったことは大きな転換点となった。
残念なことに米NVIDIAの基調講演と重なりAtlasの実演を見逃した筆者だったが、どうしても実機をこの目で見たく、親会社であるHyundaiのブースを訪ねた。そこで目にしたのは、自動車メーカーなのに車が主役じゃない異様なブースだった。厳密に言うと車自体はあったのだが、デモを行うための小道具に過ぎず、展示の主役は全てロボットだった。
ブースの中央には、Boston Dynamicsnの2種類のロボットが展示されていた。二足歩行のAtlasと、4足歩行の「Spot」だ。
Atlasは2つのバージョンがある。プロトタイプと量産モデルだ。基調講演で人間離れした動きを披露したのはプロトタイプ機であり、ブースでもプロトタイプが自動車のパーツを移し替える作業を実演していた。なお、量産モデルは静的展示だったので、実際の動きを見ることはできなかった。
Atlasは身長190cm、重量90kgと大柄だが、体幹はブレることなく正確にマニピュレーターを動かしてパーツを運ぶ。デモエリアではVRゴーグルを装着した担当者がAtlasの視点を確認しながらタスクを学習させており、学習完了後はAtlasが自律動作で運搬を続ける。デモブースのディスプレイには「Autonomous」の文字が表示され、自律稼働中であることを示していた。
CESを席巻していた他の二足歩行ロボとAtlasが大きく異なるポイントとして、工場での稼働をだいぶ見据えていたことだ。人型ロボの最大のメリットは、人間が使っているインタフェースをそのまま使える点にある。これは、親会社が自動車という比較的大きなパーツを扱う、ロボットを導入させやすい製造業とのシナジーを感じさせるものだった。
実際、Hyundaiは工場での検証を行っており、2028年までにHMGMA(Hyundai Motor Group Metaplant America)に導入予定。部品供給順序(シーケンシング)作業を担い、30年までに部品組立工程へと広げ、将来的には反復動作や重量物の取り扱い、その他の複雑な作業にも対応させる計画だ。
また今回のCESでは、Boston DynamicsとGoogle DeepMindとの協業も発表した。Atlasに「Gemini Robotics」を実装し、高度なタスクを担うロボット制御向けAIモデルの研究を進めるという。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR