ITmedia NEWS > 企業・業界動向 >
STUDIO PRO

ピクサー出身のアニメ監督とGoogle DeepMindがタッグ 生成AIを使った短編アニメを制作

» 2026年01月28日 12時40分 公開
[ITmedia]

 米Googleは1月26日(現地時間)、短編アニメ映画「Dear Upstairs Neighbors」を米サンダンス映画祭の「Sundance Institute Story Forum」でプレビュー上映すると発表した。同作品は、米Pixar出身のConnie He監督率いる制作チームとGoogle DeepMindの研究者が協力し、動画生成AI「Veo」と画像生成AI「Imagen」を活用している。

 作品は、騒音に悩まされる若い女性「Ada」が主人公。上階の住人が発する音から幻想と現実が交錯し、平穏を求めて壮絶な戦いに突入する物語を展開する。特に抽象表現主義的なスタイルを採用し、彼女の感情変化を色彩やテクスチャーで表現した。従来のアニメ手法では困難だった独特な映像を、AIツールの補助により実現したとしている。

 He監督は、制作にあたりストーリーボードを作成。キャラクターやコンセプトアートは、プロダクションデザイナーのYingzong Xin氏に依頼し、独特のシェイプと豊かな表情を持つキャラクターやビジュアルスタイルが生み出された。DeepMindはこのスタイルを維持することを求められたが、かなり独特だったこともあり、研究者は新たな機能を開発。制作に必要なカスタマイズと制御を提供したという。

Connie He監督の絵コンテ
プロダクションデザイナーのYingzong Xin氏によるキャラクターモデルシート
Yingzong Xin氏が手掛けたAdaの幻覚のコンセプトアート
最も緊迫したシーンは抽象表現主義的なスタイルに。こちらもYingzong Xin氏によるコンセプトアート

 キャラクターデザインや映像スタイルを反映させるため、DeepMindではカスタムVeoとImagenをファインチューニング。少数のサンプル画像から各モデルに概念を学習させ、ショット間の一貫性を維持する仕組みだ。また、テキストによる指示だけでは、Adaの眠そうな指がタイピングするリズム、Adaの表情のコミカルなタイミング、カメラの映し出しの正確なフレーミングの制御が難しかったことから、MayaやTV Paintなどでラフを作成し、AIがそれを最終的なビジュアルに変換するv2v(Video to Video)のワークフローを構築した。

ファインチューニングしたImagenで生成されたAda
Xin氏のコンセプトアートをもとに、ファインチューニングしたVeoで生成したアニメーション動画
コンセプトアートは2Dベースのため、3Dモデル化すると立体形状が2Dのルールに反してしまうという。Veoによる生成を通すことで、3Dモデルを2Dルールにもとづいたアニメーションに変換できるという
v2vの元となる3D映像はMayaで制作
最終のルックはVeoで仕上げる

 DeepMindによると「微調整やv2vのワークフローによる制御が可能だったのにもかかわらず、最終的なショットはどれも『ワンクリック』で生成されたものではありませんでした。他の映画制作と同様に、各ショットを『デイリー』レビューで評価し、フィードバックを繰り返して細部まで完璧に仕上げました」という。

 同社はこうした微調整のために、局所的なリファインメントツールも構築し、動画の特定領域を編集可能にした。これにより、アニメーターは全体を再生成せずに細部を調整できる。最終段階ではVeoの4Kアップスケーリング機能でスクリーン上映に対応する高解像度化を実現したとしている。

カットの一部分だけを修正するためのツールを開発

経営×IT×事業のコラボで導くデジタル基点のビジネス改革

経営層とIT部門、そして現場業務を担う事業部門の視点を合わせ、デジタル戦略の解像度を高めるためにはどうすればいいのでしょうか。本イベントでは、ビジネストレンドを整理しながら、今知りたい経営×IT×事業のコラボレーションで全社の変革を進めるためのヒントをお届けします。

photo

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アイティメディアからのお知らせ

あなたにおすすめの記事PR