米Anthropicは3月9日(現地時間)、予告通り、違法な報復を行ったとして米トランプ政権を提訴した。その数時間後、米OpenAIや米Googleの従業員37人が、Anthropicの訴訟を支持するアミカスブリーフ(訴訟当事者ではない第三者が裁判所に提出する意見書)を提出した。
訴状(PDF)によると、Anthropic側は、自社のAIモデル「Claude」を「人間の監視のない自律型致死兵器」や「米国人の大規模な監視」に利用することを拒否した結果、ドナルド・トランプ大統領およびピート・ヘグゼス国防長官から「サプライチェーンリスク」に指定されるなどの報復を受けたと主張している。同社は、AIの限界や安全性に関する見解を示すことは憲法修正第1条で保障された言論の自由であり、政府による事実上の取引停止や全面利用禁止の命令は、権限を逸脱した違法な措置であると訴えている。
この提訴に対し、競合であるOpenAIやGoogleのエンジニアらが個人として提出したアミカスブリーフでは、政府による不当なサプライチェーンリスク指定はAI業界のイノベーションや技術的議論を萎縮させるものだと強く批判している。さらに、現在の最先端AIモデルには自律的な致死兵器の標的決定を任せられるほどの信頼性はなく、監視目的での利用も民主主義に深刻なリスクをもたらすというAnthropicの懸念を「広く共有されている正当なもの」として全面的に支持し、安全性のためのガードレールを設けることはイデオロギーの問題ではなく、技術的な必要性であると強調している。
このアミカスブリーフの署名者の中には、Googleのチーフサイエンティストであるジェフ・ディーン氏や、Googleのプロダクトディレクターであるキャシー・コロヴェック氏、Google DeepMindの研究ディレクターであるエドワード・グレフェンステット氏などの業界の第一人者も含まれている。その他にも、OpenAIやGoogle DeepMindに所属する多数のシニアリサーチャーやエンジニアが署名しており、AIの安全性とガバナンスを巡る今回の政府の強硬姿勢に対し、現場のトップ技術者らが強い危機感を共有していることが浮き彫りとなっている。
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