米Anthropicは3月18日(現地時間)、約8万1000人のClaudeユーザーを対象に12月に実施したAIに関するアンケート調査の結果を報告した。この調査は12月の1週間にわたり、世界159カ国、70言語にわたる8万508人のユーザーを対象に実施された過去最大規模の多言語定性調査だ。調査には、対話型のインタビューを行うようプロンプトが設定されたClaudeの特別バージョンである「Anthropic Interviewer」が用いられた。AIに求めることや避けたいことに関する決まった質問を投げかけた上で、回答に応じて追加の質問を適宜変化させる手法をとり、自由回答形式のデータ収集を実現している。
調査結果によると、ユーザーがAIに最も求めているのは「卓越した専門性」(18.8%)であり、定型業務をAIに任せてより高度な戦略的業務に集中したいという声が多く寄せられた。これに自己成長やコーチングを含む「自己変革」(13.7%)、スケジュールや思考の整理を支える「生活管理」(13.5%)、「自由な時間の獲得」(11.1%)が続いている。
また、回答者の81%が「AIはすでに自分の掲げるビジョンに向けた一歩を踏み出している」と実感しており、仕事のスピードアップなどの「生産性向上」(32%)や、思考のパートナーとしての「認知的協働」(17.2%)の面で実用性が高く評価されている。
一方で、AIに対する懸念事項としては、幻覚(ハルシネーション)や不正確さなどの「信頼性の欠如」(26.7%)への不安が最も多く、次いで「雇用と経済への悪影響」(22.3%)、「人間の自律性と主体性の喪失」(21.9%)が続いた。
Anthropicは、こうした期待と懸念が相反する陣営に分かれているわけではなく、1人ひとりのユーザーのなかで共存していると指摘している。
例えば、AIによる学習効果の恩恵を感じる一方で自身の認知能力低下を危惧したり、業務効率化による時間節約を喜ぶ一方で目まぐるしくなるペースに不安を抱いたりといった、「光と影」の葛藤が多くのユーザーに見られた。
地域別の傾向も浮き彫りになっており、世界全体では67%がAIに肯定的な見方をしているなか、南米やアフリカ、アジアの一部などの中低所得国の方が、欧米諸国よりもAIを楽観視していることが分かった。
懸念事項についても地域差があり、北米やオセアニアがAIのガバナンス欠如を重く見ているのに対し、日本や韓国を含む東アジアではガバナンスや監視に対する懸念が低い代わりに、AI利用による「認知能力の低下」(16.2%)や「意味と創造性の喪失」(13.1%)への不安が他地域よりも顕著であるという特徴が見られた。
日本からは4960人が回答しており、肯定的な感情は69%と世界平均に近かった。AIが自己変革を助けてくれるというビジョンを持つ人が19%に上り、全地域の中で最も高かった。また、経済的自立への期待も15%と、世界最高水準だった。
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