「なぜうちのネコはごはんを完食しないのか?」――岩手大学は4月7日、その理由を解明したと発表した。
ネコが食事をやめる理由に、「満腹」だけでなく「匂い」が深く関わっており、同じ餌でも匂いを変えるだけで再び食べるようになるという。食欲が低下したネコへの新しい給餌方法や、ペットフード開発にも応用できると期待している。
ネコは1日に何度も少量ずつ食べる「少量頻回摂食」と呼ばれる食べ方をする。これは、野生祖先であるリビアヤマネコが小型の獲物を何度も捕食する生活様式に由来すると考えられている。
一方でネコは、空腹状態でも餌を食べ残すことが多く、「なぜ食事の途中で食べるのをやめるのか」については、明確な説明がなかった。
ネコは嗅覚に強く依存する動物であることが知られており、研究では、食べ残しの背景に、同じ匂いに慣れて食欲が下がる「嗅覚順応」が関わっているかを行動実験で調べた。
実験では、12匹のネコに対して10分間餌を与え、その後10分間空の皿だけを与える操作を1サイクルとして、計6回繰り返し、同じ餌を与え続ける場合と、別の餌に切り替えた場合を比較した。
同じ餌を6回与え続けると、食べる量はどんどん減少していったが、異なる餌を順に与えた場合、摂食量の減少が大幅に緩和された。
同じ餌を5回繰り返し与えて食べる量を低下させた後、6回目に別の餌に切り替えると、餌の好みに関係なく食べる量が回復した。「新しい刺激による脱順応が起きた」とみている。
加えて、上下2層に分かれた特製の皿を使い、ネコが食べる上段の餌はそのままに、下段には別の餌を入れて上段に匂いだけが届くようにしたところ、上段の摂食量が再び増加した。餌そのものを変えなくても、新しい匂いだけで食べる量が回復することが分かった。
さらに、10分間の休止期間に、同じ餌の匂いをかがせ続けると、その後の食べる量は、匂いをかがせない場合よりも低下。休止時間中に別の餌の匂いに切り替えると、食べる量は高く保たれた。同じ匂いへの持続的な曝露が食欲を抑え、新しい匂いがその抑制を和らげることを示している。
研究の結果、ネコの摂食行動は単なる満腹感ではなく、同じ匂いに慣れて食欲が下がる「嗅覚順応」と、新しい匂いで食欲が戻る「脱順応」によって調節されていることが分かった。ネコが1日に何度も少量ずつ食べる行動の背景には、この感覚的な仕組みが関わっていると考えられる。
研究成果は学術出版社エルゼビアが発行する「Physiology & Behavior」に4月1日付で電子版として早期公開された。
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