アドビは4月10日の「フォントの日」に合わせ、開発中の新書体「ネオクロ」を先行公開した。アドビオリジナルの日本語書体として最も太い極太書体で、仮名の字幅だけが縦横に変化するバリアブルフォント(1つのファイルで太さや幅を連続的に調整できるフォント形式)として設計されている。
「フォントの日」は4と10の語呂合わせからアドビが2017年に制定した記念日だ。今回、ネオクロの先行公開に加え、Adobe Fontsへの日本語書体56書体の追加も発表した。これにより、Adobe Fontsで利用可能な日本語フォントは1100を超える。
ネオクロの最大の特徴は、極太でありながら角を丸く仕上げた柔らかいデザインにある。横線・縦線の断面はふんわりした形で、ハネの先端も丸みを帯びている。
漢字については、画数が多いため仮名とは異なる処理が施されている。全ての線を膨らませると密集感が出てしまうため、横線の上下はまっすぐ保ちながら断面だけを丸くする設計を採用した。線の抑揚には明朝体のスタイルを取り入れており、左のハライは先端に向かって細く、右のハライは根元が細く先に向かって太くなる。点は三角形を採用し、このハライとの相性を高めている。
ネオクロのデザインを担当した、アドビ タイプフェイスデザイナーの吉田大成氏は「明朝体とゴシック体の中間のようなデザイン」と説明する。
技術面での最大の特徴が「漢字固定・仮名変形」という独自設計だ。一般的な日本語バリアブルフォントが全文字の幅を変化させるのに対し、ネオクロは漢字の字幅を正方形のまま固定し、仮名と欧文だけを縦横2軸で変化させる。最大変形時には正方形の半分、半角サイズまで圧縮できる。正方形の漢字と圧縮された仮名が交互に現れることで独特のリズム感が生まれる。
加えて、仮名の高さ位置を調整する専用の軸も搭載した。仮名を下辺・中央・上辺いずれを基準に圧縮するかを選択でき、どの設定でも仮名の動く範囲は漢字の高さ内に収まるよう制限が設けられている。縦組み・横組みの双方に対応し、CSSでの動的変形にも活用できる。
想定用途としては、SNS動画のサムネイルやリリックビデオ(楽曲に合わせて歌詞を映す映像)、ゲームやアニメのタイトルロゴ、食品・商品パッケージなど、強いインパクトが求められるシーンだという。文字セットはJIS第1水準・第2水準と人名漢字を含む約7000字を予定しており、絵文字も収録・変形対応の予定だ。
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