USEN&U-NEXT GROUPのUSENは5月22日、飲食店向けの新AIプロダクト2点を発表した。店舗データに基づいた経営分析AI「USEN AI店長」と、AIセンサーカメラでドリンク残量をリアルタイムで判別する「ドリンク残量検知サービス」だ。
USEN AI店長(以下、AI店長)は、同社のPOSレジ「USENレジ」に蓄積された店舗データをもとに、飲食店経営に特化したAIが分析・アドバイスするサービス。既存のPOSが提供する売上データの可視化に対し、同社の新機能はさらに踏み込んだ分析を実現。USENレジの付加機能として提供する。
過去のデータをもとに分析を行い、周辺のイベント情報や天気といった外的要因との因果関係を読み解くだけでなく、さらに「今後どうすべきか」といった提案機能も備えるという。
従来、こうしたデータをAIで分析する場合、店舗のデータをChatGPTなど個別のAIサービスにエクスポート・インポートし、プロンプトを入力するなどの手間が発生していたが、AI店長はAPIで常時データを連携、テンプレート化済みのためプロンプト入力は不要。定期的に自動レポートを生成する仕組みだ。
加えて、USENレジの付加商品として提供するため、追加費用が発生しない。既にレジを導入している店舗であれば、すぐに導入可能な設計だという。
同社副社長の塚本健太氏は、技術基盤について「LLMを複数組み合わせている。ChatGPTだけでなくGeminiやClaudeなども活用し、領域ごとの得意不得意をベストミックスしている」と説明。さらに、飲食店経営に特化させるため、厚生労働省の食事衛生レギュレーション、ハラルの基準、持ち帰りの法的許容範囲といった「飲食店の店内で起こりがちなこと」を学習させた「SLM(特化型言語モデル)」を個別開発したという。
こうしたAIの活用により、本部と各店舗の関係性にも変化が生まれる。例えば、これまで本部が求めるレポート作成は手間がかかり、分析の観点も担当者の裁量に左右しがちだった。その点をテンプレート化と自動化により、本部側は各店舗の傾向を横断的に把握しやすくなり、現場側もレポート作成の負担を減らせるという。
現場の従業員サポートにも利用でき、新入社員が直面しがちな「アレルギー対応はどうすればいい?」「外国人観光客との言語対応で困った」「クレーム対応の正しい手順は?」といった疑問に対し、AIがチャット形式で即座に応答する。塚本氏は「初めて働く人が困ったときに、すぐ相談できる相手がいるような環境を作りたかった」と述べた。
もう一点のプロダクト「ドリンク残量検知サービス」は、AI処理特化プロセッサ(NPU)搭載の一体型AIセンサーカメラ(UAS-02B)が、テーブルごとにグラスのドリンク残量を検知・判別し、「最適なおかわりタイミング」を通知するサービス。配膳ロボット「KettyBot Pro」と組み合わせることで、ロボットが配膳する際に同時にドリンク残量を検知し、効率的なオペレーションを実現できるという。
検知方法は、2つのモードを用意。1つ目は「ロボット巡回モード」で、狭いテーブル間でも複数回の巡回検知に対応する。検知結果は、あらかじめ「USENレジ」管理画面で設定した残量の閾値(0%・10%以上・20%以上下・40%以上下)に応じて、スタッフの「USENハンディ」へ自動で通知が届く。
もう1つの「テーブル固定モード」は、テーブルや壁面に設置したAIセンサーカメラが各テーブルのドリンク残量を検知。個室内の状況把握が難しい店舗でも、確実にドリンク残量を確認できるという。
実証テストは、コロワイドグループの「かまどか 秋葉原店」(東京都千代田区)で実施。その結果、固定カメラモードでは1組あたりの飲料の注文回数が平均1.2回に増加し、客単価は平均600円アップ。ロボット巡回モードでも同様に増加効果を確認したという。
また、同日には同社目黒本社ビル13階にショールーム「USEN SQUARE NEXT」を開設。同社のDXプロダクトを実際に体験できる展示スペースだ。ショールーム内には「USENレジ」「USEN Ticket & Pay」「USENハンディ」「USENセルフオーダーシリーズ」「USEN MUSICシリーズ」「USENサイネージ」「配膳ロボット」「USEN Camera」など30点以上を展示。
同社は今秋、AIが店舗全体の状況をリアルタイムで判断し、スタッフへ音声指示を自動配信する「フロアマネジメント機能」の実装も予定する。追加注文の接客指示や下げ膳の最適化など、現場のオペレーション全体をAIで支援することで、「店舗スタッフがサービス提供に集中でき、来店客が店の料理や雰囲気にもっと夢中になれる環境づくりを推進し、日本の外食業界の発展に貢献していく」としている。
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