米Microsoftのサティア・ナデラCEOは6月14日(現地時間)、Xに「A frontier without an ecosystem is not stable」(エコシステムなきフロンティアは不安定)と題した論考を投稿した。米AnthropicのAIモデル「Claude Fable 5」および「Claude Mythos 5」が米政府の輸出管理指令により全ユーザー向けに停止されてから2日後の投稿で、Fable 5への言及はない。
Fable 5とMythos 5は6月9日に一般提供が開始されたが、Anthropicは6月12日に米政府から輸出管理上の指令を受け、外国籍者へのアクセス遮断を求められた。外国籍者のみをリアルタイムで識別することが技術的に困難なため、全ユーザーへのアクセスを停止するに至った。Anthropicは、指令の根拠として政府がFable 5のジェイルブレイク手法の存在を把握したと理解しているが、これを「誤解であると考えており、できる限り早期の復旧に取り組む」としている。
ナデラ氏は論考で、企業が「ヒューマンキャピタル」(人的資本)と「トークンキャピタル」(AI資本)の両方を自社内で育てることの重要性を説いた。真の機会は最良のモデルを選ぶことではなく、鍵となるのは、自社のワークフローや知識、判断力をAIに組み込み、使うほどに改善される「学習ループ」の構築であり、「汎用モデルを別のものに差し替えても、自社固有の専門知識が失われない」設計こそがAI時代の企業の競争力になると論じている。
論考で最も強調されているのは、少数のAIモデルに経済的価値が集中することへの警戒だ。ナデラ氏は「全ての価値がわずかなモデルのみに集約されるような未来を、社会は許容しない」と述べた。特定モデルへの過度な依存が進めば、「企業の知識が足元から商品化されていく」と指摘しており、全ての企業、産業、国がAIの恩恵を享受できる「フロンティアエコシステム」の構築を優先課題として訴えた。なお、Microsoftは米OpenAIに130億ドル以上、Anthropicにも50億ドルをそれぞれ出資している。
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