AIによる人物生成には、実在の俳優をモデルにしていない。俳優の肖像権やパブリシティ権の問題を避けるため、仮想の人物を独自に設定して制作しているという。
AIによるシーン制作のメリットとしては、コスト削減だけでなく、実写では非現実的だったクリエイティブの実現や、制作期間の短縮が可能になる点がある。繊細な感情表現は現状では実写による人間の芝居のほうが優位だが、特にSFやファンタジー作品では衣装やセットを用意する必要がないことから、よりAIによる制作にメリットがある。
ただ監督の意図通りに一発で生成されることは少なく、通常は1カット完成までに平均5回、多いと10回のリトライが発生する。長尺(60分超)作品では、プリプロダクションでキャラクターの外観、衣装、小物、背景をデータ化・アセット化し、担当者がシーケンスに沿って制作することで整合性を担保している。
シナリオや台本に関しては、別の考え方を持っている。確かに草案レベルではコンテンツマネージャーがAIを活用して作成することは可能ではあるものの、鑑賞に耐える脚本へ仕上げるプロセスでは、作家との連携が必須だという。脚本は作家への発注が基本で、AIだけで完結させることはない。
一方で次回作の選定では、人気コンテンツのジャンルやストーリー特徴をデータベース化しており、市場データをAIで分析している。
字幕は基準として10言語をサポート。オリジナル言語は韓国語、日本語、英語、中国語の4言語で制作している。
吹き替えにもAIを活用しており、実写コンテンツの他言語吹き替えと、100%生成AIの新作の音声吹き替えの両方で実施。ただし吹き替えは全作品ではなく、市場の反応が良い作品に限定して提供している。
実写のAI吹き替えでは、リップシンクを最大限合わせようとしているものの、技術的に100%の一致は困難だという。一方生成AIコンテンツの多言語出力では、英語・中国語は口形まで合わせることが可能になっている。一方韓国語・日本語は相対的に品質が低いが、技術の発展で解決可能だろうと予測している。
最終的には全編AIでの制作が可能になる時代が到来すると予測しており、それに向け先行して準備・制作を進行している。
一方でAIでコスト削減できない部分としては、作品のクオリティチェック(QC)がある。最終的な品質確認はAIでは代替できず、人間が目視で行う必要があるため、この部分のコスト削減は難しいという。
ここでいったんAIを離れて、Viglooのビジネスモデルを整理してみよう。ビジネスモデルとしては、アプリ内課金(IAP)、サブスクリプション(週/月/年)、広告視聴による無料視聴の3つがある。自社の広告は主にFacebookやTikTokで展開しており、縦型動画広告経由でのモバイルユーザーのアプリ流入は非常に高いという。
ショートドラマは基本的に、50話を基準に制作。各話(1〜2分)の最後に、次エピソードへ誘導するための「フックポイント」を必ず入れることを最重要視している。
新作リリース時に北米・日本・韓国でペイドマーケティング(Facebook等)を実施し、ROAS(広告費用対効果)を基に展開国拡大や、予算増額を判断する。コンテンツの知名度や俳優の出演有無に関わらず、市場の数値的反応を最優先している。各作品にトレーラー(エピソード0)を用意し、ローンチ後は1〜5話(場合によっては10話以上)を無料公開するというパターンだ。
同社では直接ユーザープロファイルを取得していないが、外部の調査会社米Sensor Towerのデータによると、メイン利用者の約60%が女性。年齢層は30代が最も高いが、作品テーマにより男性比率が60%を超えたり、50〜60代が増えたりと、作品ごとにばらつきが大きいという。
作品には宗教や文化的に敏感なテーマなどは、基本的に含めない方針。BL/GLなど、特定の地域で受け入れられにくい作品は、当該地域で配信しないという。主要テーマではないが、一部シーンが問題となる場合は、該当シーンをカットして配信するなどの対応を行っている。
現在Viglooで公開中のAI制作作品には、その旨を明示している。当初は実写作品の方が売上が高かったが、最近ではヴァンパイアやウェアウルフなどの特定ジャンルでAI作品が実写と同等以上の成果を出している。つまり視聴者は制作方式で作品を選んでいるわけではなく、AI作品への違和感といった反応も特に見られないという。
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