「スーパーヒューマンになるということが我々人間の生きる道」──ソフトバンクが7月14日に開催した「SoftBank World 2026」の特別講演でソフトバンクグループの孫正義会長兼社長がこう述べた。「人間が頂点の生命体の時代は終わるんです。いいか悪いかは別なんです」と述べ、AIとともに自らも進化することの重要性を説いた。
孫氏が語ったのは、約15年後にあたる2040年の世界だ。インターネット革命では「最初の20年以内に自分のポジションでトップを取れなかった会社は、その後もずっと取れてないんですね」と指摘。AI革命が始まって数年がたった今、40年のAIの姿を描くべきだとして、自らの予測と、未来で人々が選択するべき道筋を示した。
同氏はまず、15年後の市場を予測した。孫氏の見立てによると、ASIが世界GDPの約20%を占め、年間売上高は7000兆円に達するという。さらに「利益率は十中八九50%近くいく。3500兆円くらいの利益を毎年稼ぐ企業がいくつか生まれる」「株式の時価総額で言えば、おそらく80%くらいになるんじゃないか」と続けた。
それを支えるデータセンターの規模について、同氏は「私は毎日考えてるんです。3テラワットです。現在の世界の発電、電力を使っている量の1.8倍になるんです」と述べた。これはデータセンターのみの電力だ。同氏によると、2040年以降も毎年1テラワット規模で増えていくという。
電力は当面ガス発電が中心になるとしつつ、40年には核融合(フュージョン)が主役になると予測する。「フュージョンでいくと、水が原材料ですから、そもそもクリーンなんです。ウランじゃないですから」と述べ、「地球の炭素問題だとか、温暖化問題というのは、嘘のように消えてなくなるんじゃないか」と予測した。
では15年先、データセンターの演算能力はどうなるのか。孫氏は単位のクイズを交えながら問いかけた。10の18乗を表す「エクサ」、その1000倍の「ゼタ」、さらに上の「ヨタ」。桁が上がるほど挙手の数は減っていった。「ゼタの次を知ってる方、1人でもいたら手を挙げてください。私の腕時計あげます」。手は挙がらなかった。
孫氏が40年のAIデータセンターの到達点として示したのは、ヨタのさらに上で10の30乗を表す単位「クエッタ」。「クエッタを知らない人がAIを語るな」と、同氏は言い切る。
これらのインフラを構築するために、どのくらいの費用が必要なのか。孫氏は「15年先ぐらいのことを考えなくて、インフラの世界を語るなと言いたい」「鉄道の世界とか、高速道路っていうのは15年なんて当然かかるでしょう。コンピュートの世界もかかるんです」と前置きした上で、「年間5兆ドルの投資が必要になります。800兆円です」と力説する。
この金額を投資しても「経営が成り立つ」という。「世界のGDPの20%、7000兆円の売り上げが毎年あるならば、毎年800兆円使ったって全然誤差だと。十分50%の利益はお釣りが来るじゃないか」
また、巨額投資に付きまとうバブル論にも反論。「AIはバブルかと。とんでもない愚問ですよ」「その質問をする方は、そもそもAIの本質をまったく分かってないんじゃないか」とし、「飛行機に乗ったことがない人が飛行機を語る、自動車に乗ったことがない人が自動車を語る」のと同じだとした。自身は「僕はもう今、朝から晩までAI使ってます」という。
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