「日本の盛り上がりにびっくり」──HoloLensの父、アレックス・キップマン来日 開発現場の光景に「鳥肌が立つ」:#decode17
日本マイクロソフトの開発者向けイベント「de:code 2017」に、HoloLens開発の中心人物であるアレックス・キップマンさんが登壇。彼が説明する「VRか、ARか」の答えとは。
米MicrosoftのMR HMD(複合現実ヘッドマウントディスプレイ)「HoloLens」開発者のアレックス・キップマンさんが来日し、都内で開かれた開発者向けイベント「de:code 2017」(5月23〜24日)に登壇。基調講演で「MRこそ、コンピューティングの未来である」と話した。
「このビデオを何回も見た。本当に鳥肌が立つ」──キップマンさんは、各国で開催されたHoloLensのハッカソンを追った動画を紹介しつつ、その中でも日本でMRの盛り上がりに勢いがあると紹介する。
「HoloLensを世に出してから、まだ1年ほどしか過ぎていない。特に日本はハッカソンなどで開発者コミュニティーがここまで盛り上がっているのは驚くべきこと。私たちはクリエイター全員に刺激を受けている」(キップマンさん)
日本では、日本航空をはじめ、HoloLensを使って外科手術のサポートを行ったり、建設業で活用するプロジェクトが進んだりと、MR市場が急速に広がりつつある。「世界を見ても日本の伸びはトップクラス」(キップマンさん)という。
「2、3年で物事はさらに変わるだろう。将来的には仕事、遊び……全てがMRで変わる。70年代にパーソナルコンピュータが登場して以来、コンテンツは全てデバイスの中に格納され、持ち運ぶ必要があった。これからは、コンテンツは場所にひも付けられ、デバイスはレンズでしかなくなる」(キップマンさん)
現実を超える体験を提供したり、能力を広げたりする技術として、VR(仮想現実)、AR(拡張現実)、MR(複合現実)といった新しい技術が盛り上がっている。日を追うごとにハードウェアの完成度が高まる中、さらに重要なのはコンテンツの発展だ。
今のところ、開発者は「今後成長するのはVRなのか、ARなのか」を見極める必要があり、どちらに舵を切るか選択を迫られることもあるという。キップマンさんは、「VRかARか」という違いは忘れてほしいと主張する。
「それらは別々のコンセプトではない。単に“ラベル”であり、MRの世界を別々の視点で見ているだけ。MRは全てを含んでおり、MRこそがコンピューティングの将来である」(キップマンさん)
関連記事
- 「想定数をすでに超えた」──Acer、Windows Mixed Reality対応HMDを日本で予約スタート 価格は4万円、8月出荷目指す
開発者イベント「de:code 2017」の会場には、実機も展示している。 - 建設業界にも「複合現実」の波 HoloLensを前に、現場は「とんでもない時代になった」
建設業界にも「HoloLens」を活用したMR(複合現実)の導入が進んでいる。 - 「HoloLens」一般向け初披露 政府のSAOコラボイベントで 「これは未来への投資」
内閣サイバーセキュリティセンター(NISC)とアニメ「ソードアート・オンライン」がコラボした啓発イベントに、日本マイクロソフトが「HoloLens」を出展した。 - バーチャル映像の校長が式辞を述べる――ネットの高校「N高」入学式、新入生が「HoloLens」装着
入学式だけでなく、通学コースの授業向けにHoloLensを導入。目の前に3D映像を表示しながら授業をする――などの活用を考えているという。 - MS、ホログラフやめるってよ 誤用の原因「ホロデッキ」について調べてわかったこと
HoloLensに代表される「ホログラフ」「ホログラム」という言葉の誤用について、その原因を探ってみたら興味深い事実に突き当たった。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.