DMMの「Mastercard取引停止」で考える“カード決済の裏” クレカの扱いがなくなる複数の理由(3/3 ページ)
先日、DMMがMastercardの決済を7月29日以降終了することが突然アナウンスされて話題になった。この件に関していろいろ臆測を含めたニュースが複数出ているが、「クレジットカードの決済が停止される」という背景について改めて考えてみたい。
カード交渉の実態
話を冒頭のDMMの話題に戻すと、記事中でも触れられているようにアダルトカテゴリーはFANZAとしてすでにDMM本体からは分離されており、本来は直接的な介入は難しいと思われる(だからこそ分離したのだろうが……)。MastercardとDMMとの間でどのような交渉が行われていたのかは分からないが、現状ではコンテンツ以外の理由を見いだした方が適切かもしれない。
Mastercardの日本国内でのシェアは2割前後といわれており、VisaやJCBなどに比べると影響力は少ないのが現状だ。ゆえに手数料交渉で特別強気に出られるとも思えないのだが、もし他のブランドとも何らかの問題があるようであれば、数カ月以内に動きがあると予想する。
もう1つ、TSUTAYAオンラインが22年9月16日以降の注文分に対してクレジットカード決済ができなくなり、新たな支払い手段として「代金引き換え」を加えた形で自宅配送での決済に対応すると通達している。BOOKSカテゴリーの商品の一部は代引きが利用できないため、「店舗受取」を選択することで、こちらは引き続きクレカを含む複数の決済手段を利用できるという。この話題を前述の表現規制と絡めて論じる意見もあったが、それにしてはやや不可解な動きだ。
TSUTAYAオンラインを運営するカルチュアコンビニエンスクラブ(CCC)では、2020年11月にもオンラインの支払い方法として「代引きを廃止してクレカに一本化」しており、動きが一定していない。どちらかといえば、手数料率でもめた可能性が高いのではないかとも考えている。
いずれにせよ、カード取引というのは恒久的なものではなく、日々の交渉の中で変化していくものと考えるのが正しい。われわれが便利にカードを利用する裏で、担当者同士の綱引きがつねに行われていることは認識しておくべきだ。
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