海外プリペイドSIM導入マニュアル──「カナダ・バンクーバー2013年」編:「プリペに(あまり)やさしくない都市で使う」な海外定額データ通信(2/2 ページ)
今回は“住みやすい都市”の1つ、カナダ・バンクーバーへ訪れた。ただ……各事業者の店舗を回ってもプリペイド専用商品はまるでなし。プリペイド製品を望む海外渡航者にはちょいとやさしくない街なのだが、手段がないわけではない。それを実践してみた。
WindでポータブルルータとプリペイドSIMカードを入手
4社ある大手事業者の中で、Windが唯一プリペイドでも利用できるデータ通信料金を掲載していた。
月単位の料金プランだが、No Contract──すなわち契約は不要で、毎月料金をプリペイドで支払うタイプと、時間課金、2タイプのプランがある。ただしカナダ5社の中ではシェアが一番低いこともあるためか、店舗数が他社と比べてとても少ないのが難点か。とはいえ、Windであればプリペイドにてデータ回線をリーズナブルな価格で入手できるだろう。
中心部のメインストリートの1つ、Robson通りからThurlow通りに入ったところにあるWindの店舗を訪れると、店内中央にあるカウンターにスマートフォンに加えUSBモデムやポータブルルータが展示してあった。価格もUSBモデムが39カナダドル(約3631円)からとほどほど安い。これにデータプランのプリペイドSIMカードを一緒に購入すればよいわけだ。端末には「4G対応」をうたうものもあるが、WindはLTEはサービスしておらず、3GのHSPA+止まりなので注意。店舗スタッフの対応はこちらが海外渡航者でかつプリペイドの客であっても心地よく対応してくれ、他事業者よりよい印象を受けた。
さて、データ端末は4種類が販売されていたが、最安値のUSBモデムに10カナダドル(約931円)加えるだけでポータブルルータタイプを購入できる。スマホも併用する予定ならルータタイプのほうがいろいろ使い勝手がよいだろう。
購入した機器はHuawei「E853C」。料金プランは、今回ごく短期の滞在で利用頻度は少ないことから2カナダドル(約186円)/1時間を選択した。1週間単位で滞在するなら1Gバイトまで15カナダドル(約1396円)/月のプランにするとよいと思う。
1時間単位のプランは、1時間の利用を超えると5カナダドル(約465円)の追加で1日定額プランに変わる。というわけで、2日間程度の利用ならこれで十分である。支払い総額は、ルータが49カナダドル(約4562円)、プリペイドSIMカードが20カナダドル(約1862円)、税金がそれぞれ4.83+3.45カナダドルで合計77.28カナダドル、日本円換算で合計約7195円となった(ちなみに次回訪問予定があるため、SIMカードにはやや多めに20カナダドル分を初期チャージしておいた)。
プリペイドSIMカードの登録・初期作業などは購入時にスタッフが行ってくれる。登録にはパスポート提示と滞在ホテルの住所が必要。登録完了後すぐに利用できるようになる。今回はポータブルルータタイプにしたので、PCへのUSBドライバインストールなども不要なのはまぁ楽である。
料金(残高)の追加やプランの変更は店舗を再訪するのが簡単だ。1週間程度の滞在は場合は、1Gバイトまたは3Gバイトまで利用できる月単位のプランにしておくと、料金(残高)追加の手間が発生しないのであらかじめこちらを選んでしまってもよい。利用したデータ量の把握は、ルータのWeb設定ツールへアクセスするとだいたいの利用量が分かる。ちなみに、プリペイドSIMカードの有効期限は2カ月である。
バンクーバーもプリペイドでインターネット環境は整えられる。ただしWindを除いて、海外渡航者向けの製品はほとんどない。この点が少し残念だ。バンクーバーへの短期滞在(~3日ほど)であれば、国内のポータブルルータ/海外インターネットサービスのレンタル事業者を利用するほうが、少々コストはかかるが手間がかからないので確実かな、という印象だ。
というわけで、2013年6月時点のバンクーバーはプリペイドユーザーにあまり……優しくはない。渡航日数がどれくらいになるかによって、現地購入かレンタルかを使い分けてほしい。
山根康宏 :香港在住の携帯電話研究家。一企業の香港駐在員時代に海外携帯電話に興味を持ち、2003年に独立。アジアを中心とした海外の携帯電話市場の状況や海外から見た日本の携帯電話市場についてなど、海外の視点からコラムや記事を日本のメディアに執筆するほか、コンサルティング活動も行う。携帯/SIMカードコレクターとしても知られ、所有する海外端末数は1100台以上(2013年5月時点)。
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