Brand New PC Style:タブレットPCはオフィスをどう変える?ーコクヨ 森川卓也氏に聞くー

前のページ

 そうした技術的な課題もあるように思うのですが、そのほかに、感性というか、感覚というか、そういう面での違和感みたいなものもあります。例えば、書き味ですね。もっと小さい字で書きたいとか、ペンの太さなんかにもバリエーションがあるとよいと思いますね。書き味、という点では「Alias SketchBook Pro」はおもしろいソフトですね。子供が喜びそうで、渡したらいつまでもさわっているでしょうね。

チバ  書き味、という点では、摩擦係数を上げて書き味を変えたモデルも出てくるようですよ。

コミュニケーションのあり方をタブレットPCが変える

チバ  タブレットPCをビジネスマンが使うとしたら、仕事にどのような変化が出てくると思いますか?

森川  まず、私もビジネスマンということで、自分にあてはめてみますと、私はパソコンは基本的にコミュニケーションのツールと位置づけています。ですのでメールをコミュニケーションの手段として、非常に活用しています。そこに手書きの良さや手書きによるビジュアル・イメージを交換したりすることで、コミュニケーションがより深まるのではないでしょうか? Outlookとは別にJournal用のメーラーとか、手書きのメーラーもあるといいですね。

チバ  ビジネス・コミュニケーションのあり方をタブレットPCが変える可能性がある、ということですね。

森川  打ち合わせのシーンなどでは、手書きしたアイディアを打ち合わせ相手の目の前で出しながらブレストをできるのは、十分価値のあることになりますよね。さらにそれがその場ですでにデジタルデータになっていて、そのまま取り込んだり、持ち歩いたり、送ったりできるということが一番いいことではないでしょうか。2度アクションを起こさないと次に進めない、というのはイライラしますよね。それが一回で終わるわけです。

 いまは仕事を進める上で、最初からデジタル化することを念頭においてやらなければならないことが多いと思います。タブレットPCなら、考えをまとめる前に入力することができますから、アナログとデジタルを行き来することによる思考や行動の妨げはなくなりそうですね。デジタル的な組み立て方で無理に進める必要がなくなる。つまり、思考はアナログで、行動はデジタルで、進められるということです。

 もちろん、社外の人と一緒に仕事したりするのには、議事録をきちんと残さなければなりませんし、それはテキスト化しなければならないという面倒さはあまり変わりませんが、社内でのごく簡単な打ち合わせなら手書きのままでいいじゃないですか。多少、字が汚くても知った仲間内でもあるし。そういうことを強く感じますね。

 こうなってくると人間がPCにあわせるのではなくて、PCが人間に寄ってきている感じがします。もっともっと寄ってきてほしいですね。

チバ  マイクロソフトのねらいもそこにあるのではないでしょうか? パソコンと人間のインタフェースを切り替える、そこがポイントのようですね。

森川  まさにパソコンのあり方すらもかえてしまう予感もあります。ノートPCにしてもデスクトップにしても基本は一人で使うものですよね。ところがタブレットPCは数名で同じ画面を見ることもできます。

 例えば、真ん中においてみんなで見ながら使えば、反対側から見ている人もスタイラス・ペンで直接、タブレットPCにアクセスできます。そうしたデスクトップ型(あるいは卓上)ホワイトボード的な使い方ができそうです。そういう使い方を考えれば、正面からでないと見にくいのは欠点になりますね。視野角を可変できるようになるといいですね。

チバ  ホワイトボードは大人数で、タブレットPCなら数人のブレスト。そんなイメージですね。タブレットPCが会議のイメージを変えそうな感じですね。

森川  ミーティングにはタブレットPCは大活躍するのではないでしょうか? 会議などでPCを持ち込んでも、会議の妨げになることを考えてキーボードを打つことはまずありませんが、メモをとりたいなということはあります。当然、そういう時はPCを傍らに置いたまま、誰もが紙に書いています。しかし、タブレットPCなら会議中に使っても違和感はないのではないかと思います。手書きのメモを含めすべてがデジタルで流通すれば、コミュニケーションの上でのメリットが出てくるでしょう。タブレットPCは、ビジネス環境に手書きのPCスタイルを新たに加えるでしょう。

チバ  手書きのコミュニケーションの復権ですね。

森川  そうですね。タブレットPCとホワイトボードの連携には、うまくmimioを使っていただきたいですね。

チバ  それにはmimioでJournalデータが認識できるようになるとよいですね。

[チバヒデトシ, ITmedia ]

前のページ | 2/3 | 次のページ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

PICK UP

news010.jpg ベールを脱いだ“Origami”、MicrosoftとIntelがOrigamiことUMPCを披露
CeBIT 2006で、ついに“Origami”がベールを脱いだ。3月9日、MicrosoftとIntelはそれぞれプレス発表会を開催、OrigamiことUltra-Mobile PC(UMPC)デバイス戦略を明らかにした。

news015.jpg “Origami”命名者らが明かすUltra-Mobile PC構想
CeBIT 2006の目玉となった“Origami”ことUltra-Mobile PC(UMPC)。会場ではIntel、Samsung、ASUSなどのブースでUMPCを見ることができた。3月10日に催されたMicrosoft、Intel、Samsungの共同記者発表会の模様とあわせて、UMPCを検証してみよう。

news001.jpg 1キロを切る超小型・軽量のコンバーチブル型タブレットPC──富士通「FMV LIFEBOOK P8210」
富士通の企業向けノートPC「FMV LIFEBOOK」シリーズに、コンバーチブルスタイルのタブレットPC 2モデルが追加された。その中でも「FMV LIFEBOOK P8210」は、本体重量が約990グラムと非常に小型・軽量でありながらも、コンバーチブルスタイルを実現した意欲的なタブレットPCである。

news002.jpg これが“ThinkPad”クオリティのタブレットPCだ──レノボ・ジャパン「ThinkPad X41 Tablet」
性能面はもとより、耐久性や操作性なども含めたノートPCとしての完成度の高さで幅広いユーザーから支持されている「ThinkPad」シリーズ。そのThinkPadからコンバーチブルタイプのタブレットPCが登場した。それが「ThinkPad X41 Tablet」である。

news002.jpg デジタルクリエイター教育におけるTabletPCの可能性──デジタルハリウッド杉山学長インタビュー
デジハリEXは、TabletPCを使ったデッサン入門講座を6月に開講する。なぜTabletPCを教材に採用したのか? クリエイティブツールとしての可能性・将来性は? 日本のデジタルクリエイター教育の先駆者であるデジタルハリウッド大学・大学院の杉山知之学長に話を伺った。

1.jpg サラリーマンのためのタブレットPC使いこなしガイド 第1回:OneNoteの登場でタブレットPCがいっそう身近に(1)
ノートPCとPDAの中間――普段のWindowsアプリケーションが使え、PDAなみの軽快な操作性と携帯性を持つタブレットPC。メールやWebの閲覧はもちろん、企画書を作成して他社に営業に行き会議室でプレゼンを行う……そんな今回の企画にぴったりの人はもちろん、それ以外の人にもタブレットPCとOffice OneNote 2003などのアプリケーションを組み合わせた、きっと役に立つちょっとしたノウハウを今後数回に分けて展開していく。

news009.jpg マイクロソフト、次世代TabletPCのコンセプトモデルを初披露
マイクロソフトは都内で行われた開発者向けコンファレンス「WinHEC 2005 Highlights」で、次世代TabletPCのコンセプトモデルを本邦初公開した。スライド式の液晶タブレットを搭載し、ノートPCモードとピュアタブレットモードを瞬時に行き来できるのが特徴だ。

news020.jpg TabletPCの現在、そして未来を語る──モバイルプラットフォーム事業部GMインタビュー
TabletPCはノートPC市場のメインストリームに対して、フェーズに合わせて普及のターゲットを広げてきた。さらに将来的には、タブレットの機能はすべてのノートPCにも搭載されるようになるという。米マイクロソフト モバイルプラットフォーム事業部 ジェネラルマネージャーにTabletPCの現在と未来を聞いた。

news003.jpg ペンオペレーションでモバイルAVノートの魅力が変わる──富士通「FMV-BIBLO LOOX P70R」
富士通のモバイルAVノート「FMV-BIBLO LOOX」シリーズに、新モデルとなる「FMV-BIBLO LOOX P70R」が登場した。1キロを切る軽量ボディを実現しながらも、一般ユーザー向けとしては同社初のコンバーチブル型タブレットPCであるという意欲的な製品だ。

news005.jpg タブレットPCのプレゼンは、なぜ琴線を揺さぶることができるのか?
今や、ビジネスパーソンだけでなく、学生にもプレゼン能力が問われる時代。とはいえ、スライドと話術のみで受け手に強い印象を残すプレゼンを行うのは非常に難しい。しかし、タブレットPCを利用すれば、誰でも簡単に“勝てるプレゼン”が可能になるという。それはなぜか──。

news001.jpg コンバーチブル型を採用した企業ユースのメインストリームモデル──日本HP 「HP Compaq tc4200 Tablet PC」
日本HPから、同社初となるコンバーチブル型のタブレットPC「HP Compaq tc4200 Tablet PC」が登場する。利用シーンに合わせてスタイルを変更できるトランスフォーム型で脚光を浴びた同社製タブレットPCだが、新モデルはイメージを一新し、企業ユースの本流を狙う意欲的な製品に仕上がっている。

news001.jpg オフィスを狙った本格仕様の2スピンドルコンバーチブル型タブレットPC──富士通「FMV LIFEBOOK T8210」
「FMV LIFEBOOK T8210」は、携帯性を重視したB5サイズの2スピンドルコンバーチブル型タブレットPCだ。タブレットモード、ノートPCモードのどちらも快適に使用できるハイスペックを備えており、オフィスユースに適した魅力的なマシンに仕上がっている。

news003.jpg TabletPCでペーパーレス化や広告イメージの具体化・共有化を実現
アカウントマネージメントパーソンにとって、クライアントに関するあらゆる資料・情報は“ビジネスのなる木”だ。だが、それらをすべてため込もうとすると、今度はその量に飲み込まれて身動きができなくなってしまう……。マッキャンエリクソンに勤めるあるアカウントマネージメントパーソンは、TabletPCを使うことでその矛盾を克服した。

news002.jpg タブレットPC・ガールの旅日記Vol.8「東京ベイエリアに行きました」
KAORI(臼田 華織)、歌って踊れるキャンペーンガール&モデルユニット「IT GIRLS」のメンバー。所属はアトランティックス マネージメントです。柔らかな初春の日差しに誘われ、葛西臨海公園からパレットタウン、お台場海浜公園まで、東京ベイエリアをぐるっと回ってきました。