ネットワークでの共同作業にも対応した手書きツール「COREL Grafigo」

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オニオンスキンでコメントをレイヤーに

 Grafigoにはアンダーレイに直接書き込まず、ドキュメント上にレイヤーを作成する「オニオンスキン」機能が用意されている。オニオンスキンは通常のドキュメントと同じように手書きの図形や文字を書き込むことができる。もちろん手書き文字のテキスト化も可能だ。オニオンスキンは作成順に番号が表示され、自由に場所を移動できる。大きさの変更も自由だ。また、カラーや透明度も変更できるため、スタッフごとにカラーを決めておけば誰が書き込んだかがわかりやすくなる。これらの設定は「設定」の「その他のツール」で変更できる。

オニオンスキンは大きさやカラーを自由に変更できるほか、透明度も調節できる

 ドキュメントをSVG形式で保存しGrafigoで開けば、オニオンスキンの情報が保持される。そのためオニオンスキンの変更が可能だ。しかし、Webブラウザから開いたり、ほかのファイル形式でエクスポートした場合にはオニオンスキンは画像の一部となる。Grafigo上で作業を進めていくならSVGファイルを活用したい。

NetMeetingを使ってネットワーク上で共同作業も可能

 Grafigoでは、ドキュメントを共有しての共同作業にも対応している。「共同作業」のボタンをタップするとWindows NetMeetingが起動し、開いているドキュメントを共有できるようになる。Windows NetMeetingの起動時には使用目的を選択するウィンドウが表示され、ここで通話を申し込むか応答するかを設定する。

「共同作業」ボタンをタップすると、使用目的の選択画面が表示される。ここでサーバ側かクライアント側かを指定する

 共有しているドキュメントには、NetMeetingの参加者がオニオンスキンを使って自由にコメントを書き込める。共同作業時はドキュメントが各自のタブレットPCのメモリ上で動作するため、ドキュメントの保存も可能だ。会議の際に非常に有効な機能で、しかもネットワーク上で共有できるので遠隔地とのやり取りも可能だ。

プロジェクトなどの画像を下絵として読み込み、スタッフごとにオニオンスキンのカラーを指定すれば、ネットでの会議を効率よく行える(クリックすると拡大します)

 GrafigoはタブレットPCの機能をさらに拡張し、手書きドキュメントの可能性を大いに広げている。しかも無料で入手できることはポイントが高い。その機能は企業ユーザーに特に有効だ。タブレットPCを持っているなら、ぜひとも入れておきたいツールといえるだろう。

コーレルからのコメント

 先日コーレルを取材した際、同社コメントを得たので紹介しよう。

「GrafigoはCORELがPainterなどで培った技術を使用して、『タブレットPCはこんなことができる』という意味でグラフィックツール寄りの機能を搭載して提供しました。最初のバージョンは無償で提供しますが、次期バージョンはさらにPainterの技術を取り入れて有償で提供しようと考えています。

 Windows Journalとほぼ同じ位置づけですが、図面や資料をオンライン上で共有し、打ち合わせができる点が大きなポイントです。当社では3つの方向性で商品を提供しており、1つ目はコンスーマ向けのドロー系、ペイント系、あるいはそれ以外のソフトウェア、2つ目は企業向けのグラフィック開発のためのソリューションやコンサルティングといった業務、3つ目は業務を改善するためのソリューションで、これは旧マイクログラフィックスで提供していたものです。

 Grafigoが目指すのは3つ目の方向性で、複数のスタッフがネットワークを使って最新のドキュメントを共有し、さらにコメントなどを追加していける機能はマネジメントの現場で有効なソリューションとなり得ます。流通や生産、品質管理といった現場では業務プロセスを最適化することで管理を確実にし、効率を上げることができます。複数のスタッフがコラボレートしながらインタラクティブに検討できる。Grafigoはそれを実現できます。

 このようなソフトは、マイクロソフトのブランドでは難しいのかも知れません。今後はグラフィック変換機能をさらに充実させるとともに、タブレットPCへのOEM供給も考えています。いずれはOffice製品やAdobe製品とも連携させたいですね。そうすれば一気に拡大すると思います。タブレットPCは登場したばかりですが、いろいろな機能を提供していくことでソフトウェアが引っぱっていかないといけないと考えています」(コーレル(株)代表取締役:若松勉さん)

[吉澤亨史, ITmedia ]

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