下り最大9.2MbpsのEVDOマルチキャリア、LTEのデモを実施――KDDI:CEATEC JAPAN 2010
KDDIブースでは、EV-DO Rev.Aの約3倍の通信速度を実現する「EVDOマルチキャリア」と、2012年12月に開始予定のLTEのデモを実施。EVDOマルチキャリアは秋冬モデルの一部機種から対応する。
KDDIは「auインフラの進化」というテーマで、EVDOマルチキャリアとLTEを紹介している。
EVDOマルチキャリアは、EV-DO Rev.A(1.25MHz幅)のキャリア(データを送受信するための電波)を最大3本束ねることで、さらなる高速化を実現する技術。通信速度はEV-DO Rev.Aの下り最大3.1Mbps/上り最大1.8Mbpsの約3倍の、下り最大9.2Mbps/上り最大5.5Mbpsに向上する。
ブースでは、EV-DO Rev.AとEVDOマルチキャリア対応機種の2台を並べて通信をするデモを実施している。映像のダウンロード速度はそれほど差が出ないこともあったが、これは同社ブースで展示している「IS03」を多くの来場者が操作していたため。「周りで通信をしているユーザーが多いと、通信速度に影響が出る」(説明員)。一方、画像ファイルを2機種から送信したところ、「上りの通信をしている来場者はほとんどいない」(同)ことから、EVDOマルチキャリア対応機の方がはるかに速く送信できた。
「EZwebなどデータ量の少ない通信だと、EV-DO Rev.AとEVDOマルチキャリアの差はほとんど感じられないが、容量の大きいデータをやり取りする際には顕著に差が出る」と説明員は話していた。
EVDOマルチキャリアはauの2010年秋冬モデルの一部機種から対応する予定。「ハードウェアを変えなければならない」(説明員)ため、既存の機種をソフトウェアアップデートでEVDOマルチキャリアに対応させることはできない。また、IS03はEVDOマルチキャリアには対応していない。2010年12月からNTTドコモがLTE対応機種(データ端末)を投入する予定だが、KDDIがLTEを開始するのは2年後の2012年12月。同社はEVDOマルチキャリアをLTE導入までの“つなぎ”と考え、遅れをカバーする構えだ。
KDDIが2012年12月に商用化を予定しているLTEは、(再編後の)新800MHz帯の10MHz幅を基盤バンドとし、1.5GHz帯の10MHz幅を容量補完バンドとして使う。また、EVDOマルチキャリアの新800MHz帯+2GHz帯にも対応する予定だ。通信速度はドコモのLTEと同じく、下り最大75Mbps、上り最大25Mbpsを目指している。
auのLTEサービスは、まずはデータ通信から提供し、音声サービスは当面のところ既存のCDMA2000 1X網で対応する。対応機種について、ドコモはデータ端末から提供する予定だが、KDDIは「音声端末を前提に考えている」とのこと。ただし詳細は未定。またドコモの「Xi(クロッシィ)」のようなサービス名を付けるのかも未定。LTEはCDMA2000 1X網とLTE網を切り替えて利用することを想定しており、対応エリアは2014年度末には、EV-DO Rev.A相当まで拡張する予定。
ブースでは、テスト用のLTE基地局と端末を有線接続し、映像を再生するデモを披露。LTEの試作機には、ソニー・エリクソン製の端末が使われていた。2010年3月からは那須塩原地区で2GHz帯を利用したフィールドテストを実施しており、「下り最大70Mbpsの通信に成功した」(説明員)という。
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