LED照明の消費電力節減効果は確かに高いが、使い方を工夫すればさらに消費電力を節減できる。東京急行電鉄は、照度センサーと照明器具を組み合わせて、周辺の明るさに合わせて光の強さを調節する機構を導入した。さらに、人感センサーと照明を組み合わせることで、人間の存在を感知して照明を自動的に点灯、消灯させる仕組みも導入した。
ほかにも、ホームの照明には、列車の接近に合わせて照度を調整する機構を導入するなどして、消費電力のさらなる削減を狙っている。
LED照明の次を見据えた動きも見せている。今回の照明器具入れ替えで、有人改札口と定期券売り場の天井照明に有機EL照明を導入したのだ(図5)。パナソニック エコソリューションズ社によると、有機EL照明はスポットライトとしての導入例はあったが、天井照明として導入する例は日本初だという。
LED照明導入には電力消費量削減という大きな目的があるが、有機EL照明導入にはまた異なる意図がある。パナソニック エコソリューションズ社によると、「有機EL照明はまだ発展途上の技術、寿命は短く、電力効率も良いとはいえない。しかし、薄く、パネル表面が発光するというメリットがある。場面によっては活躍の場がある」という。
前出の木暮氏は、「薄いというメリットを生かして、天井裏にほとんど空間がない場所などに応用していきたい」と語る。今回の照明器具入れ替えでは、天井用照明だけでなく、有機EL照明の薄さをアピールするかのような照明器具も設置していた(図6)。
パナソニック エコソリューションズ社は、「有機EL照明も、2015年度には現状のLED照明と同様の電力効率を達成できる。その後も効率は上がっていく」と予測している。2018年度には、透明な照明パネルや、曲げられる照明パネルも登場する見込みだという。見込み通りに開発が進めば、有機EL照明の用途はかなり広がるだろう。
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