4月から始まる政府の大型補助金、節電・蓄電・発電機器の導入コストを低減補助金(1/2 ページ)

国のエネルギー政策に基づいて、省エネを推進するための様々な補助金制度が設けられている。毎年度の国家予算が割り当てられるため、いったん3月末で終了するものが多いが、4月からの2012年度に申請できる大型の補助金制度が現時点でも4種類ある。

» 2012年04月02日 09時00分 公開
[石田雅也,スマートジャパン]

 「我慢の節電」から「我慢しない節電」へ――。昨年夏の関東地方を中心とする電力不足により、企業や家庭、店舗や工場でも、エアコンや照明などをできるだけ使わないようにする努力が連日続けられた。あの時の蒸し暑さ、暗いオフィスや店舗を思い出して、できれば今年は同じことを繰り返したくない、と願う人は多いだろう。

 これから来る暑い夏に向けて、電力使用量を無理なく抑制するためのエネルギー管理システムや蓄電・発電機器を導入する取り組みが、一部の企業で進み始めた。そうした動きをさらに加速させる補助金制度がある。うまく活用すれば、導入時のコストを抑えることができ、いち早く節電対策を進めることが可能になる。

 補助金制度は政府主導によるものと、地方自治体が運営するものがあり、現時点で節電・蓄電・発電に関する政府主導の補助金制度は4種類ある(図1)。このうち2つはエネルギー管理システムの導入に対する補助金で、企業向けのBEMS(ビル・エネルギー管理システム)と家庭向けのHEMS(ホーム・エネルギー管理システム)が対象になる。両方を合わせて2012年度と13年度の2年間で、総額300億円が適用される予定だ。

ALT 図1 2012年度に申請できる主な補助金制度(2012年4月2日現在、地方自治体が実施するものを除く)。本ページの右段にある「参考情報サイト」から各補助金制度の詳細情報を入手可能

1万棟以上のビルにBEMS導入へ

 企業向けのBEMSに対する補助金制度は、電力会社から高圧小口(契約電力が50kW以上500kW未満)の電力供給を受けている中小規模のビルや工場が主な対象になる。現在のところ高圧小口契約の顧客数は全国で70万以上あり、このうちBEMSの補助金は2年間で1万件以上の適用を目指している。

 この補助金を申請するためには、「BEMSアグリゲータ」と呼ぶエネルギー管理サービス提供会社と契約を結ぶ必要がある(図2)。サービスを受けるために必要な装置の購入費や工事費に対して、2分の1あるいは3分の1が補助金として支払われる仕組みである。1件あたりの補助金は100万円から200万円程度になるとみられる。BEMSアグリゲータに支払うサービス利用料は補助金の対象には含まれない。

ALT 図2 「BEMSアグリゲータ」によるエネルギー管理サービス

 当初はBEMSアグリゲータとして15社から20社程度が認定される予定で、ITシステムインテグレータや電気機器メーカーの大手各社が認定を受ける見通しだ。4月中にはBEMSアグリゲータを通じた補助金の申請が開始される。HEMSについても同じく4月中に申請受付が開始される予定になっている。この2つの補助金制度は、一般社団法人の「環境共創イニシアチブ(略称SII)」が、経済産業省からの業務委託によって運営する。

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