セブン-イレブン・ジャパンが店舗のエネルギー管理のために導入を進めている「スマート分電盤」を、開発パートナーのNECが商品化した。一般企業のオフィスやデータセンターでも簡単な工事で設置できるのが特徴だ。
新年度が始まる4月を機に、節電対策のために電力を“見える化”するシステムを導入する企業が増えてきた。すでに流通業では西友やセブン-イレブン・ジャパンが店舗の電力使用量を見える化するプロジェクトを本格的に進めている。そのセブン-イレブン・ジャパンが導入中の「スマート分電盤」をNECが一般企業向けに販売する。
オフィスなどの電力使用量を見える化するためには、照明機器や空調機器などに電気を分配するための分電盤に、電流センサーを取り付ける方法が一般的だが、設置工事に手間がかかるのが難点である。NECが4月16日から販売を開始した「スマート分電盤」(図1)には、あらかじめ24個の電流センサーを取り付けてあるほか、電流センサーのデータをもとに電力使用量を測定する「スマートコントローラ」が組み込まれている。分電盤の設置工事だけで済むため、作業工数が通常の半分で済むという。
スマート分電盤の価格は40万円からで、構成によって金額が変わる。オフィスや店舗、サーバールームやデータセンターを主な対象にしており、ブレーカは125アンペアタイプを内蔵する。照明やパソコンなどで一般的に使われている単相100ボルト/200ボルトの電源のほか、空調機器やサーバーなどに使用する三相200ボルトの電源にも対応できる。スマートコントローラ単体でも6万円から販売する。
ただしスマート分電盤やスマートコントローラを導入しただけで電力使用量を見える化できるわけではなく、スマートコントローラで収集したデータをグラフなどで表示するためのエネルギー管理システムが必要になる。いわゆるBEMS(ビル向けエネルギー管理システム)である。スマートコントローラにはインターネットと接続するための通信インタフェースがあり、ネットワークを通じてBEMSへデータを送って見える化できるようにする。
先ごろ経済産業省によるBEMSの補助金制度を適用できるシステム提供会社として「BEMSアグリゲータ」21社が発表されたが、NECは日本IBMと組んでBEMSアグリゲータの事業に取り組む体制をとることが明らかになった。このため日本IBMがBEMSを販売する際に、NECのスマート分電盤を採用するケースも多くなるとみられる。
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