ラックマウントサーバ向け直流給電システム、IBMのサーバと合わせて提供省エネ機器

データセンターにおける消費電力量節減策として、直流給電システムが注目を集めている。従来の方式と比べると、交流/直流の変換回数が減り、電力を有効に使えるからだ。NTTデータ先端技術は、自社で開発した直流給電システムを、IBMのサーバとセットにして販売する。

» 2012年05月11日 19時46分 公開
[笹田仁,スマートジャパン]

 NTTデータ先端技術は、ラックマウントサーバ向けの直流給電システム「XECHNO Power」の供給を8月から始める。一般的な商用の交流電力を効率良く利用できるだけでなく、耐障害性を高める工夫を加えている点も特長。

 一般に、サーバを利用するときはUPS(無停電電源装置)と組み合わせるが、交流電流を直流電流に変換する作業が何度も発生し、電力の利用効率が下がる。同社によると、この方式ではサーバ内部に直流電流を供給するまでに、20〜40%の電力を損失するという。

 一方、直流給電システムを利用すれば、交流/直流の変換回数が減り、電力を効率良く利用できる。XECHNO Powerを高圧直流給電(HVDC)システムと組み合わせて利用すると、損失を10%程度に抑えられる(図1)。

AC/DC 図1 従来の給電方式と、直流給電方式の違い。従来の方式では、UPSに電力を蓄積するときと蓄積した電力を出力するときなどの場面で直流/交流変換が必要だったが、XECHNO PowerとHVDCを組み合わせて利用すれば1回の変換で済むようになる(出典:NTTデータ先端技術)

 電源の配置を工夫したことも大きなポイントだ。一般に、直流給電に対応するサーバは直流電源を搭載している。直流電力の供給を受けて、電源部で電圧を調整して内部のマザーボードに電力を供給する。

 XECHNO Powerでは、ラックに搭載するそれぞれのサーバから電源を取り払い、ラックごとに設置する集中電源から各サーバに直流12Vの電力を供給する。サーバから電源部を取り払うことで部品点数が減り、故障率が低下する。集中電源部も冗長構成となっており、故障が発生しても電力供給を続けられる。

 NTTデータ先端技術はXECHNO Powerの供給開始に当たり、日本IBMからラックマウントサーバの供給を受けることも明らかにした。具体的には、「IBM System x3550M4」「IBM System x3650M4」(図2)を直流12Vを受け付けるようにしたものの供給を受ける。NTTデータ先端技術では、XECHNO Powerと対応サーバを組み合わせて拡販していく予定だ。

IBM Server 図2 日本IBMが供給するサーバ。上がIBM System x3550M4で、下がIBM System x3650M4)

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