充電池を内蔵し、ピークシフトを可能にしたデスクトップパソコン省エネ機器

消費電力量節減の動きは、企業で従業員が使用するパソコンにまで及んでいる。これまで、内蔵の充電池を利用してピークシフトを可能にしたノートパソコンがいくつか登場している。NECはデスクトップパソコンに充電池を搭載した。

» 2012年05月23日 22時59分 公開
[笹田仁,スマートジャパン]
PC and Display 図1 NECが新たに発売したデスクトップパソコン「Mate タイプME」

 NECは企業向けデスクトップパソコンの新製品「Mate タイプME」を発売した(図1)。特長は、オプションで充電池を内蔵可能としたこと。充電池を内蔵することで、ピークシフトが可能になる。充電池だけで動作可能な時間はおよそ3.1時間。

 ピークシフト機能を実現するソフトウェアにも工夫を凝らしている。例えば、ピーク時に放電した充電池を、電力需要が少ない夜間に充電するように設定できる(図2)。さらに、電力会社が発する電力需給情報「でんき予報」を受信し、1日のピークカット、ピークシフトの設定を自動で調整する。

Peak Shift 図2 ピーク時は内蔵する充電池で動作し、放電した充電池は夜間に充電する

 大量のパソコンを利用している企業で役に立つ機能も用意している。単純にピーク時間帯を設定し、すべてのパソコンが同じ時間帯で充電池の電力を利用するようにしてしまうと問題が発生する。電源を充電池から一般の交流電源に切り替えるタイミングが重なってしまい、その瞬間がピークとなってしまうのだ。

 そこでNECは、充電池で駆動する時間帯をランダムに分散する機能を用意した。ピーク時間帯に電力会社から受電する電力を減らしながら、多数のパソコンが一斉に電源を切り替えることによるピークが発生することを防げる(図3)。

Random Peak Shift 図3 充電池で動作する時間帯をランダムに分散し、多数のパソコンが一斉にコンセントから受電し始めることを防ぐ

 昼間に充電池への充電を抑制するだけでなく、ピーク時に充電するときは少しずつ充電することで、ピーク値を下げる機能も用意している。

 パソコンが消費した電力量の推移を表示する機能も持つ。コンセントから受電した電力量を測定する機能をパソコン本体に内蔵しており、専用のソフトウェアにグラフなどの形で消費した電力量を表示する。

 NECは、同様のピークシフト対策機能を備えたノートパソコン「VersaPro タイプVD」と「VersaPro タイプVH」も発売する。このうちVersaPro タイプVDは、パソコンが動作していないときの待機電力をゼロに抑える「ゼロワットACアダプタ」を搭載する。

 NECが標準的とするモデルの価格は次の通り。充電池を内蔵したMate タイプMEが339,000円。VersaPro タイプVDが272,900円。VersaPro タイプVHは231,000円。

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