データセンターでデータを一括処理するようにして、安価に導入できるHEMSが増えている。補助金を利用することでさらに安い価格で導入できるようになっているものもある。NTT東日本は導入時の負担が実質1000円からというHEMSの提供を始める。
東日本電信電話(NTT東日本)は、同社が提供しているインターネット接続回線「フレッツ光」の付属サービスとして、HEMS(家庭向けエネルギー管理システム)「フレッツ・ミルエネ」の提供を2012年6月19日から始める。政府の補助金制度を利用することで、実質1000円でも導入できることが大きな特長。月々の利用料も210円と低く抑えている。「フレッツ光」の利用契約を結ぶ必要があるものの、すでに建っている住宅、集合住宅でも利用できるという特長もある。
フレッツ・ミルエネでは、HEMS機器として分電盤で世帯全体で消費している電力量を計測する「分電盤計測器」と、家電製品の電源プラグとコンセントの間にはさむことで、家電製品の消費電力量を計測する「電源タップ」、分電盤計測器と電源タップが計測したデータを無線で受信する「無線親機」を使用する(図1)。
無線親機にはインターネットにつながっている家庭用ルーターを接続する。これで、分電盤計測器と電源タップの計測データがインターネットを通してデータセンターに届く。データセンターではデータの集計、グラフの作成のほか、電力会社から電力供給量の情報を受け取り、各世帯にそのデータを送信する機能などを担当する(図2)。
消費電力量などのデータは、パソコンやタブレット、スマートフォンのWebブラウザからデータセンターにアクセスすることで確認できる。NTT東日本では、データ表示用タブレット「フレッツ・ミルエネ専用端末」も用意している(図3)。
分電盤計測器、電源タップ、無線親機、フレッツ・ミルエネ専用端末のセットは、経済産業省が実施している「エネルギー管理システム導入促進事業費補助金(HEMS導入事業)」制度の補助対象となっている(2012年6月13日に認定)。この制度を利用することで、フレッツ・ミルエネの導入コストを最低1000円まで抑えられる。
NTT東日本は、フレッツ・ミルエネを利用するために必要な機器である分電盤計測器、電源タップ、無線親機1台ずつを基本セットにし、付属品を変えた組み合わせを6種類用意している。それぞれの価格は表1の通り。すべて、設置工事費込みの価格だ。
セット名称 | 価格(税込) | 補助金利用時のユーザー負担額 | フレッツ・ミルエネ専用端末 |
---|---|---|---|
シンプルパック60A | 2万1000円 | 1000円 | 付属せず |
スタンダードパック60A(S) | 4万2000円 | 2000円 | 1台付属 |
スタンダードパック60A(W) | 6万3000円 | 3000円 | 2台付属 |
シンプルパック120A | 3万1500円 | 1500円 | 付属せず |
スタンダードパック120A(S) | 5万2500円 | 2500円 | 1台付属 |
スタンダードパック120A(W) | 7万3500円 | 3500円 | 2台付属 |
経済産業省からの補助金はHEMS機器1セットに対して一律10万円。ただし、機器の価格が10万円を下回る場合の補助額は1000円の位で切り捨てた額となる。その結果、最もシンプルな構成の「シンプルパック60A」なら1000円で導入できるということになる。専用端末が2台付属するセットでも、3000円あるいは3500円で済む。
家電製品の消費電力量計測に必要な電源タップは、どのセットにも1つしか付属しないが、複数の家電製品の消費電力量を計測したいという要望に応えて、電源タップは単品でも販売している。価格は4200円。1世帯で9個まで使用可能。
NTT東日本はによると、フレッツ光を契約している世帯は900万世帯に上るという。同社はフレッツ・ミルエネを、すでにフレッツ光を利用している顧客にさらなる付加価値を提供するものと位置付けている。フレッツ光の契約世帯数を考えると、急速に普及する可能性もあると言えるだろう。
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