情報通信網を利用してエネルギー利用効率向上、仙台のエコモデルタウンエネルギー管理

東日本大震災の被害を受けた宮城県仙台市では、復興のために新たな市街地を作るだけでなく、その地域をエネルギー利用効率が高い「エコモデルタウン」とする計画を立てている。今回、3社が事業者と決まった。

» 2012年08月08日 07時20分 公開
[笹田仁,スマートジャパン]

 仙台市は「平成24年度仙台市エコモデルタウンプロジェクト推進事業(田子西地区)」の事業者として東日本電信電話(NTT東日本)、NTTファシリティーズ、国際航業の3社を選定した。3社はこの事業を進めるための事業体「一般社団法人仙台グリーン・コミュニティ推進協議会(仮称)」を設立し、事業に当たる。

 この事業では、仙台市宮城野区田子西地区の復興事業に合わせて、地域の住宅に太陽光発電システム、ガスコージェネレーションシステム、蓄電池といった発電、蓄電機器を設置し、非常時の電源を確保する。さらに、各機器と住宅に設置したスマートメーター、電力供給を制御するエネルギー管理システムをつなぐ情報通信網を作り、情報を双方向でやり取りすることで、各戸のエネルギー利用効率を高めることを狙っている(図1)。

図1 田子西地区エコモデルタウンの構成図

 この事業の対象となるのは田子西地区に建っている仙台市復興公営住宅(4棟、176世帯)と、今後一般販売を予定している戸建て住宅(16戸)。復興公営住宅には、太陽光発電システム、ガスコージェネレーションシステム、蓄電池、スマートメーターを設置し、各戸に電力使用量を確認できる端末も配備する。さらに、エネルギー管理システムで太陽光発電システムなどの電源を制御して、電力の有効活用を目指す。

 戸建住宅には太陽光発電システム、家庭用燃料電池、住宅の電源としても利用できる電気自動車(または据え置き型蓄電池)を設置し、各戸に家庭用エネルギー管理システム(HEMS)を導入する計画だ。

 この事業では、情報通信網とエネルギー管理システムを利用して各戸のエネルギー利用効率を高めるだけでなく、スマートグリッドの国際標準となる通信方式を確立することも目指しているという。現在のところ通信方式については、何も決まっていないが、既存の通信方式を組み合わせることで、多くの人に受け入れられる方式を決めていくとしている。

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