政府によるBEMS(ビル向けエネルギー管理システム)の補助金制度が始まって3か月が経過した。2年間で1万棟のビルにBEMSを導入する計画だが、この1か月間の申請件数が伸び悩んでいる。申請を担当するアグリゲータの一部からは審査方法の見直しを求める声も出始めた。
補助金制度を運営する環境共創イニシアチブ(SII)が発表した8月10日時点の申請件数は1366件で、約1か月前の7月6日から430件の増加にとどまった。5月7日に制度を開始してからの最初の2か月間と比べると、月間の申請件数は1割ほど減っている状況だ。夏の節電対策が本番を迎えているにもかかわらず、想定外の失速と言える。
BEMSの設置と補助金の申請を担当するアグリゲータ23社の申請状況を比較すると、理由の一端が見てとれる(図1)。この1か月間で申請件数を着実に伸ばしているアグリゲータがある一方で、まったく増えていないケースが多く見られる。中には件数が減少している例もある。
申請件数が順調に増えない理由として、SIIによる審査方法の問題を指摘する声がアグリゲータの間から聞こえてくる。「審査が細かくて、申請が通るまでに時間がかかりすぎる。もっと効率的にできないものだろうか」。
アグリゲータによって申請件数に大きな差があるということは、提供するBEMSの価格帯や導入しやすさの違いのほかに、SIIの担当者とのコミュニケーションの問題も考えられる。
貴重な税金で運営する補助金である以上、厳格に運営することは当然である。ただし補助金の本来の目的は、多数の企業にBEMSを導入して日本全体で節電を進めることにある。その点で審査方法の見直しとアグリゲータのモチベーション向上が早急に求められる。
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