総額300億円を投入するBEMS(ビル向けエネルギー管理システム)の補助金制度が受付を開始してから1か月が経過し、463件の申請があった。申請を代行するアグリゲータは23社あるが、まだ半数の11社からだけで、7月にかけて申請件数が増える見込みだ。
オフィスや工場、店舗などの電力使用量を管理・制御するBEMS(ビル向けエネルギー管理システム)の導入が進んでいる。企業の節電対策として最も有効な手段の一つとみられており、政府も今年度からの2年間で一気に導入事例を増やす方針だ。
そのために総額300億円を投入する大型の補助金制度を設け、連休明けの5月7日から申請の受付を開始した。その申請状況が運営主体の「環境共創イニシアチブ」(略称SII)から発表された。
発表によると、開始から1か月の6月8日時点で、補助金を申請した事業所は463件にのぼった(図1)。この補助金制度を企画した当初の目標は全国で1万件に設定されており、その目標に対して開始1か月で約5%の進捗である。
実際の申請はBEMSの導入企業ではなくて、SIIが認定した23社の「アグリゲータ」が代行することになっている。
アグリゲータ別の内訳を見ると、エナリスが249件と全体の半数強を占めて他社を大きく引き離している。一般には知名度の高くない会社だが、東京都足立区に本社を置き、BEMSの中核になるデマンドコントローラの販売で実績がある。補助金の申請が終了する2014年3月までに、単独で1万4000件以上の適用を見込んでいる。
このほかに現時点で申請件数が多いのは、電機メーカー大手の東芝と日立製作所で、それぞれ117件と52件の申請を完了した。続いてITサービス大手の三井情報が17件を申請済みである。空調メーカー大手のダイキン工業やパナソニックも申請を開始している。
エナリスと同様にデマンドコントローラを中心とする洸陽電機とイーエムシーの2社も、まだ数件だが実績を上げ始めた。両社の2年間の見込件数を合わせると約1800件にのぼる。特に電力使用量の多いスーパーや商店などの流通業が多くを占めるとみられる。見込件数では同しくデマンドコントローラに注力するヴェリア・ラボラトリーズが2400件、日本テクノが1330件とメーカー大手に匹敵する規模を想定している。
SIIでBEMSの補助金を担当する審査第二グループの高橋和道グループ長は「7月くらいまでの申請件数を見ながら、実績の少ないアグリゲータは入れ替えも検討したい」と状況によってはアグリゲータを選別していく方針だ。現在のところ申請件数がゼロのアグリゲータが半数の12社ある。今後の1〜2カ月で各社からの申請件数が増えていくことは確実だが、スピード重視でBEMSの導入を促進しないと認定取り消しの可能性もある。
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