電費性能は世界最高、フィットEV販売開始電気自動車

電費性能の高さで、各方面から注目を集めていたフィットEVの販売がいよいよ始まった。企業、自治体向けのリース販売のみで、ボディカラーも内装色も1色のみの展開。本田技研工業は、2年間に約200台販売することを目標としている。

» 2012年09月03日 09時15分 公開
[笹田仁,スマートジャパン]

 本田技研工業は電気自動車(EV)の新製品「フィットEV」の販売を開始した(図1)。企業、自治体向けのリース販売のみで、価格は税込みで400万円。

図1 本田技研工業が発売した電気自動車「フィットEV」

 フィットEVは国内発売前から、その電費性能の高さで注目を集めていた。満充電状態から走行できる距離を示す「一充電走行距離」が225km、1km走行するために必要な電力を示す「交流電力量消費率」が106Wh/km。同社によるとこの電費性能は世界最高だという。

 電費性能向上のために自動車のさまざまな部分の効率を高めた。駆動部品の効率向上と小型軽量化、ボディの空力性能向上、燃費性能に優れるタイヤの採用など、ガソリン車に共通する工夫のほか、新開発の「電動サーボブレーキ」によって、減速時にブレーキの踏み始めから停止寸前まで、運動エネルギーから電力(回生エネルギー)を得ることに成功した。

 蓄電池は東芝製のリチウムイオン蓄電池「SCiB」。蓄電容量は20kWh。床下に搭載し、後方から2つの冷却ファンで冷やすことで、走行と充電の繰り返しによる蓄電池の温度上昇を抑えている。温度上昇を抑えることで、蓄電池の性能低下を避け、耐久性を向上させることに成功したとしている。

 駆動部には同社の燃料電池車「FCXクラリティ」が搭載している「ギアボックス同軸モーター」構造を採用した。さらに、モーターを小型化しながら高い出力を得ることに成功した。その結果、モーターの最高出力92kW、最大トルク256N・mという、FCXクラリティとほとんど変わらない性能を達成した。

 さらに、状況に応じてドライブモードを切り替えられるようにした。走行性能を優先させる「SPORT」モードと、走行性能と電費のバランスを取る「NORMAL」モード、電費性能を高めることを優先させる「ECON」モードの3種類のドライブモードを用意した。

 そのほかの仕様は以下の通り。乗車定員は5面。最高速度は144km/h。充電時間は、蓄電池残量警告ランプが点灯している状態から満充電まで約6時間。急速充電なら残量警告ランプが点灯している状態から80%充電まで約20分。ボディカラーはリフレクション・パールのみ。内装色はライトグレーのみ。

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